石塔寺から北上し、八日市の中心街に向かう。近江鉄道「太郎坊」駅から北へ約1.1km、標高350mの赤神山(あかがみやま)の中腹に「阿賀神社」がある。通称“太郎坊さん”の名で親しまれている「太郎坊宮」である。太郎坊というのは、この山で修行した天狗の名前だという。約1400年前に創始されたと伝えられる古社である。天照大御神の御子「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊」(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)を祀り、その名前から勝運授福の神として崇められ、厄除け・開運・商売繁盛にもご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れる。
麓から700段の石段を上り詰めると、古代信仰の名残りをとどめた本殿にたどり着く。本殿の周りには岩座(いわくら)と呼ばれる巨岩、怪石が散在している。本殿前にある夫婦岩という巨岩は、神力によって左右に開いたといわれ、巨岩信仰の中心となる岩である。この前を嘘つきな人が通ると途端に岩に挟まれてしまうという伝承がある。本殿前の展望台からは、四季折々に移り変わる蒲生野の景色や、御在所岳を始め、鈴鹿連峰のすばらしい景観が楽しめるため、多くの人が訪れる。

この山の中腹にあるのが太郎坊。

太郎坊は天狗である。

太郎坊阿賀神社の標柱。

本殿まで500段の石段を上る。

夫婦岩。自然石の亀裂か。

人一人が通行できる裂け目である。

岩肌に貼り付くような本殿。

本殿内部。信心厚い信者が頭をすりつけてじっと礼拝していた。

本殿からの景色。

夫婦岩を振り返る。