薬師寺に残る建築のうち、奈良時代(天平年間)にさかのぼる唯一のものが東塔である。総高34.1m(相輪含む)(国宝)。屋根の出が6か所にあり、一見六重の塔に見えるが、下から1・3・5番目の屋根は裳階(もこし)であり、構造的には三重の塔である。塔の先端部の相輪にある青銅製の水煙(すいえん)には飛天像が透かし彫りされており、奈良時代の高い工芸技術を見ることができる。
塔の建築年代については、飛鳥の本薬師寺から移築されたとする説と、平城京で新たに建てられたとする説とがあるが、『扶桑略記』の記述にある天平2年(730)に平城京にて新築されたとする説の方が有力だという。

雷雲の中に東塔が聳え立つ。

フェノロサが「凍れる音楽」と呼んだのは誤りだそうだ。

組物は三手先組物、裳階は平三斗。

雷雨のため金堂に避難。金堂から見た東塔。

水煙。天女の造形。(薬師寺解説書より)

再建された西塔。