性海寺から北東に向かう。国府宮からさらに北東方向に行く。JR稲沢駅から北西へ500mのところに萬徳寺がある。ここにも国の重要文化財の多宝塔があるので訪れてみた。
萬徳寺は、真言宗豊山派に属する。境内には四国八十八ヵ所の霊場巡りができるようになっているが、一番霊場に向かったとたん蜘蛛の巣に絡め取られてしまい、霊場の中は荒廃していた。
萬徳寺の縁起によると、神護景雲2年(768)称徳天皇の勅願によって慈眼上人が創建し、草堂に阿弥陀三尊を安置したという。その後、木曽川の決壊などにより本堂は荒廃し、承和元年(834)に弘法大師空海が当地へ巡歴したおり、真言の道場として再興したという。天暦年中(947〜956)には火災、永祚元年(989)には風難で伽藍は壊滅したという。
建長6年(1254)常円上人が、本堂、鎮守堂等を建立して以後、寺は繁栄し、尾張国真言宗の本山として50以上の末寺を従えるようになる。多数の仏画、典籍類が所蔵されており由緒深き古刹である。萬徳寺の所有する文化財で国・県・市の重要文化財の指定を受けている件数は34点におよぶ。

萬徳寺山門

萬徳寺本堂

四国八十八ヵ所の霊場

本堂前の弘法大師像