地下鉄の西高蔵駅から東に歩いて行くと、高座結御子(タカクラムスビミコ)神社がある。木々が生い茂り昼間でも鳥居の中が真っ暗に見える。神社の北側は、高蔵公園になっていて楠の巨木が生い茂っている。高座結御子神社は3つある熱田神宮境外摂社のひとつで、承和2年(835)の創建とされている。残りの2つは、緑区大高町火上山にある火上姉子(ひかみあねこ)神社(祭神 宮簀媛命)と熱田区白鳥の青衾(あおぶすま)神社(祭神 天道日女命)である。
尾張氏の祖先である高倉下命(タカクラジノミコト)を祭る。記紀の神武東征伝承でカムヤマトイワレビコ(神武天皇)とその軍勢が危機に陥った際に、タケミカヅチの分身でもある霊剣フツノミタマを届けて危機を救ったとされるのが高倉下命である。熱田神宮の祭神と同じく尾張の祖神であり、高蔵地区一帯の鎮守神・産土神でもある。地元では「高座さま」と呼ばれて篤く信仰されている。周囲には、高蔵貝塚や高蔵古墳があり、古代以来、尾張氏一族の拠点地と考えられる。
古くから子育ての神様として有名で、子預け・虫封じの厚い信仰がある。子預けとは、自分の幼い子どもを15歳まで神様に預けるというもので、無事育成と虫封じをお祈りし、15歳になったらお礼参りをするものである。その間は自分の子どもであっても神様にお預けしているので頭を叩いてはいけないという。預けられた子どもの名前は台帳に登録され、毎月無事成育の祈願祭が行われる。
南の鳥居をくぐって社殿の方に歩いていくと、左手に覆い屋に囲まれた「御神井」とよぶ井戸がある。「高座の井戸のぞき」として有名で、夏の土用の入りの日にこの井戸を覗くと、カンシャクの虫封じになるといわれている。
境内には鉾取社、新宮社、御井社、稲荷社の末社がある。また、境内には、樹齢何百年という大楠が何本も残っている。

高座結御子神社 南鳥居。

高座結御子神社 社名石柱。

高座結御子神社 案内標識。

高座結御子神社 尾張造の社殿。

「子預け」についての案内標示。

高座結御子神社 西鳥居。

井戸覗きの「御神井」。

昔ながらのポンプ井戸で、水を汲み上げている。