芭蕉は、元禄7年(1694)10月12日大坂の南御堂花屋で没した。享年51歳であった。遺骨は、芭蕉の遺言により大津、善所の義仲寺に葬られる。訃報を受けた伊賀の門人等により遺髪を持ち帰り、愛染院の藪かげに埋め、標の碑を建て故郷塚と称えた。
愛染院は、遍光山願成寺という真言宗の寺で、松尾家の菩提寺である。愛染明王を安置することから愛染院の名で知られている。
本堂前に、「家はみな杖にしら髪の墓参り」という芭蕉の句碑がある。
元禄7年(1694)秋、故郷で盆会を営んだ芭蕉は、久しぶりで一家そろって墓参りをするが、みな年老いて杖をつき白髪頭となっているよと、老いの感慨を詠った。

愛染院門前。

古い「故郷塚」の石碑。

愛染院本堂。

「故郷塚」。

「故郷塚」の石碑面。中央に「芭蕉桃青法師」・右に「元禄七甲戌年」・左に「十月十二日」と刻まれている。文字は芭蕉の高弟服部嵐雪の筆といわれている。

「家はみな杖にしら髪の墓参り」の句碑。