空雲寺から少し南側に百曲街道が通っている。百曲街道を南西方向に行くと明正1丁目の交差点から先は車が交差できないような細い道となる。くねくねと曲がっている道を辿っていくと第二十九〜三十三番の五観音を祀る最後の観音堂がある。観音堂に掲げられた額には、三十一番割観音堂とあるので、その他の番割観音がここに集められたのだろう。その南には神明社が連なっている。明正一丁目神明社は、安永8年(1779)に村社として勧請されている。祭神は、天照大神。
【第二十九番】青葉山松尾寺(真言宗醍醐派−京都府舞鶴市)〈開基〉威光上人〈本尊〉馬頭観世音菩薩〈創建〉和銅元年(708)
【御詠歌】 そのかみは 幾世経ぬらん 便りをば 千歳もここに まつのおでら
【第三十番】巌金山宝巌寺(真言宗豊山派−滋賀県竹生島)〈開基〉行基〈本尊〉千手千眼観世音菩薩〈創建〉神亀元年(724)
【御詠歌】月も日も 波間に浮かぶ 竹生島 船に宝を 積むここちして
【第三十一番】姨綺耶山長命寺(単立−滋賀県近江八幡市)〈開基〉武内宿彌〈本尊〉千手十一面聖観世音菩薩三尊一体〈創建〉推古天皇27年(619)
【御詠歌】 八千年や 柳に長き 命寺運ぶ歩みの かざしなるらん
【第三十二番】繖山観音正寺(天台宗単立寺院−滋賀県蒲生郡安土町)〈開基〉聖徳太子〈本尊〉千手千眼観世音菩薩〈創建〉推古天皇13年(605)
【御詠歌】あなとうと 導きたまえ観音寺 遠き国より 運ぶ歩みを
【第三十三番】谷汲山華厳寺(天台宗−岐阜県揖斐郡)〈開基〉豊然上人・大口大領〈本尊〉十一面観世音菩薩〈創建〉延暦17年(798)
【御詠歌】 世を照らす 仏のしるし ありければ まだともしびも 消えぬなりけり (現在)
万世の 願いをここに 納めおく 水は苔より 出る谷汲 (過去)
今までは 親と頼みし 笈摺を 脱ぎ納むる 美濃の谷汲 (未来)

第二十九〜三十三番観音堂.

三十一番割観音堂の掲額。

観音堂の内部。

明正一丁目神明社。安永8年(1779)勧請。

案内標示。

阿形狛犬。

吽形狛犬。