柏井壽『鴨川食堂まんぷく』小学館文庫 2019/8/6
シリーズ第6作目

第一話 たらこスパゲティ……アイドルのもう一つの顔
第二話 焼きおにぎり…………若き日の過ちと向き合う
第三話 じゃがたま…………別のソースは使わんでええ
第四話 かやくご飯……………おばあちゃんのごほうび
第五話 カツ弁………………………列車の中で流した涙
第六話 お好み焼き……………どうして置いていったの

この「鴨川食堂」シリーズは、NHK BSプレミアムでドラマ化された。最近も再放送を流している。
〈食探します〉という一行広告を出す「鴨川探偵事務所」所長は、鴨川こいし(演−忽那汐里)、その父親で元刑事の料理長が、鴨川流(演−萩原健一)。
鴨川流役の萩原健一が亡くなってしまったためもうテレビドラマの新作は見ることができないと思うが、結構楽しめた作品であった。
食探しの依頼者に対し、鴨川流が最初に、何気なくふるまう料理がおいしそうで、そんな料理を味わってみたいと毎回思う。
依頼者が探し求める料理は、何でもない料理ばかりではあるが、思い出の籠ったその食を鴨川流が、徹底的な現地取材で突き止めていくという話である。
原作を全て読んでいるが、もうマンネリかなと思いながらも、ほろりとさせる人間模様を散りばめながら、結構楽しく読めてしまう気軽なエンターテインメントである。
著者の柏井壽は、様々な「京都本」を上梓している。私が読んだのは、『おひとり京都の愉しみ』 (光文社新書 2009/9) とか、『京都の路地裏 生粋の京都人が教えるひそかな愉しみ 』(幻冬舎新書 2014/9)などである。
私も京都で大学生活を送り、結構隅々まで歩いたのでいろいろな思い出がよみがえってくる。