第一候 【東風解凍】 (はるかぜこおりをとく) 2/4〜2/8頃
七十二候が立春・初候に変わり、暖かい春風が川や湖の氷を解かし始める頃である。
ここでは「はるかぜ」と読んでいるが、東の風と書いて「こち」と読み、春先に吹く東寄りの柔らかな風のことをいう。東風は、まだ冷たさの残る早春の風でもあり、東風が吹くようになると寒気が緩み、春を告げる風として認識された。
東風は春の季語で、菅原道真の「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花、主なしとて春を忘るな」の和歌を思い出す。
さて、昨日は節分であった。節分とは立春の前日である。冬と春の切り替わる時である。
情報番組で、節分は年に何回あるか?という質問をしていた。季節の切り替わりであるから、当然4回なのだが、残りの3回は行事としては消滅したしまっている。立夏・立秋・立冬の前日が節分である。
恵方という考え方があり、商魂たくましい人たちによって恵方巻を食べるとよいという習慣も近年でき上がってしまった。
尾張地区における今年の恵方は、西南西で、西南西に最も近い観音様は荒子観音であった。
笠寺観音(笠覆寺)、甚目寺観音、荒子観音、龍泉寺観音を尾張四観音という。名古屋城から見て鬼門の方角にある寺院を名古屋城を守る寺院として尾張四観音と定めた。またその年の恵方にあたる寺は盛大に節分会が行われた。
今年恵方の荒子観音は、浄海山円龍院観音寺といい、天台宗の寺である。奈良時代、天平元年(729)北陸の名僧・泰澄和尚によって開基されたと伝わる。
また、荒子観音寺には多種多様な「円空仏」が存在し、円空仏の寺として有名である。円空が生涯で製作した仏像は12万体以上と言われ、そのうち現存するものは5千数百体。この5千数百体のうちの、1200体以上が荒子観音寺に伝えられている。

荒古観音山門と三重塔

山門には、円空作の仁王像二体が安置されており、この仁王像は最大の円空仏としても知られる。