アレックス・カー『ニッポン巡礼』集英社新書ビジュアル版
2020/12/22
著名な観光地から一歩脇に入った、知る人ぞ知る隠れた場所には、秘められた魅力が残されている。東洋文化研究者アレックス・カーが、知られざるスポットを案内する「巡礼」の旅。
アレックス・カーは、アメリカ生まれ。イェール大学日本学専攻卒業。慶應義塾大学国際センターへ留学(1972年〜73年)。留学中にヒッチハイクで日本中を旅し、旅の途中で訪れた徳島県祖谷に感銘を受け約300年前の藁葺き屋根の古民家を購入し修復し居住する。
この民家を「篪庵(ちいおり) 」と命名した。(「篪(ち)」は竹の笛という意味を持つ古い漢字)
1989年より、篪庵での生活や歌舞伎、美術コレクションなどに関する自身の経験に沿って、変わりゆく日本の様子を執筆し、「新潮45」にて連載する。1993年にそれらを1冊にまとめた「日本の残像」を出版した。
2001年には日本の景観、自然環境、公共事業のダメージに伴う観光の低迷など日本が抱える諸問題について研究したものを「犬と鬼(DOGS & DEMONS)」にまとめ出版する。
米国系不動産開発会社トラメル・クロー東京代表(1986年 - 1993年)、国際日本文化研究センター客員助教授(1996年8月 - 1996年12月、指導教授は山折哲雄)を経て、1997年からタイに第二の活動拠点を設けて、タイを中心にミャンマー、インドネシア、ラオスなど東南アジアの文化研究を進める。現在は、日本とタイを行き来しながら、文化活動の幅を広めている。
日本では京都の町屋再生事業、コンサルティング事業を手がける株式会社庵(いおり)を2003年に創業し、講演・執筆・コンサルティング事業も手がける。外国人観光客の誘致や各地域での古民家再生、コンサルティング活動等がきっかけとなり、2008年には国土交通省から「Yokoso! Japan大使(現VISIT JAPAN大使)」に任命される。
また、同年2月より長崎県北松浦郡小値賀町の「観光まちづくり大使」、2011年5月からは京都府亀岡市の「亀岡観光大使」に任命され、各地でインバウンド観光の促進活動を行う。
原点でもある篪庵を拠点として、2005年に特定非営利活動法人篪庵トラストを設立した。篪庵での宿泊・見学を通じて国内外から多くのゲストを受入れ、祖谷の生活体験を提供している。
2009年からは地元の三好市と共に落合集落でプロジェクトをはじめる。現在は4件の茅葺き民家を改修して、古民家ステイとして運営している。
著作「美しき日本の残像」で新潮学芸賞(1994年度)を受賞。