釣りとリス探しは、ほんとによく似ていると思う。
ボート釣りに夢中だったころ、仲間とカンパチ、ヒラマサ、ワラサの3キロ以上をルアーで釣り上げる競争をやったことがある。この三種は釣るのが難しいターゲットで、毎回ボウズになるのがあたりまえ。
だから、高い目標を立て、競い合うことで釣れないことをも愉しみとしたのである。私はこれを2番目にクリアしたが、それでも3年かかったと思う。
釣れない間は、ヒラマサはどこにいるのだろうか、何を食っているのだろ、ルアーが悪いのか、そんなことばかり考えていた。
リスも、これまでのブログで紹介してきた通りで、ちっとも姿を見せなかった。ところが、先日4匹現われ、24日も3匹出てきた(写真)。釣りで言ったらもう大漁である。
ただ、24日はいつもの同じミズキに出るものと思っていたが、こちらを警戒したのか、後方50メートルのミズキに発見する。待ち構えている木に出てこないから、これまで一度も見たことがないけど、まさかナー、なんて眺めていたら枝先の葉が揺れ、中にちらっと動く影を発見。
2匹目もその30メートル先の木にいた。どちらもエサを食べるには条件が悪そうだけど、私が陣取っているから、しかたなしだったかもしれない。初めての木に姿を見るのは新しい知識を得たことで、うれしいもの。
昨日は、ボートクラブ誌の取材があり、東京湾へ行きメバルを狙ったが、これもリス探しそっくりだった。イワシを釣り、それをエサにして釣るイワシメバルという釣法。
いつも一日だけのぶっつけ本番だから、本命を釣ることが危い、綱わたり的な取材になる。昨日も、いくらでもいるだろうと思っていたイワシが無くて、それを釣るためだけに午前中を費やした。
それからメバルを探し始めるが、これがまたどこにもいない。最後の最後に、やっと反応を見つけて釣り上げ、何とか取材成立。
印象的だったのが、編集者のホッシーが一匹釣り上げたときの、ほんとに嬉しそうな顔。あんな笑顔というの、ひさしぶりに見た。イワシをエサにして魚を釣ったのが、初めてらしい。
釣りは、パターンができあがれば、24日のリスみたいに、多少の変化でも対応がきくし、数も釣れる。でも、最初の一匹を見るまでは、リス同様、どこにもいないのではと思えてしまうのだ。
この苦労した一匹と、まったく釣れないゼロとの差は、無限大といえるほど。初めて一匹を釣ったホッシーの感動は、その後大漁したときよりも深く心に残るかもしれない。
でも、こんな釣りだと、竹蔵丸のお客さんに納得してもらえるわけないのである(笑)。
釣り上げた魚を食べることで釣りが完結するなら、リス観察は、美しい生態写真を撮ることかな。
写真のリスの顔に付いた白いのは、ミズキの花茎をを食べるときに、花弁(?)が付着したもの。夢中で食うんだね。

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