t-ka隊員が深海を無気味がっているし、一般的にもそうだろうと思えるので、もう少し深い海のお話を。
写真は以前にも載せたハダカイワシで、水深150メートルから釣り上げたメダイの口から吐き出されたもの。ウロコが少し残っているが、前項の先日撮影した真鶴の定置網に入ったものとは種類が違うようだ。
たぶんメダイという魚も知らないだろうから、下の写真も載せるが、中央がメダイで上下の赤いのはナンヨウキンメ。ワカメの上に数匹乗っている小さいのはカタクチイワシで12、13センチ程度。
メダイは深海性の魚ではあるが、春から夏には水深70、80メートルまで上がるものも多く、浅いところで釣れたり、深いところだったりと分布が広い。水圧の変化に強い魚である。
で、ハダカイワシであるが、表層のカタクチイワシやマイワシがあらゆる魚のエサとなるように、深海のキンメや、ムツ、アコウダイなどの重要なエサとなっている。
それだけではなく、表層のイワシが周辺にいなくなると、表層の魚も水深200メートルぐらいまで潜ってハダカイワシを食べているハズ。スルメイカが水深250メートルに生息するし、カツオやマグロ、ブリも水深300メートルに平気で潜るし、ヒラメだって水深300で釣れることもあるのだ。
ハダカイワシは動物プランクトンをエサにしているから、日周鉛直運動する動物プランクトンを追って、自身も鉛直運動をやっている。
昼間深海にいて、夕方暗くなる頃、表層に浮き、植物プランクトンを食べるのが動物プランクトンの鉛直運動だ。植物プランクトンは光合成をするから表層にしか生息できないのだ。
鉛直運動は曇天の日なら日中にも行われるから、深海と浅い海の明確な境界というのはけっこうあやふやなものなのである。
富山のホタルイカが夜定置網に入る映像、見ているだろうと思うが、ホタルイカも深海魚で、水深500メートルで釣り上げたアコウダイの口からよく吐き出される。
また近くの岩港の砂浜で昨年だったかこのホタルイカがかなり打ち上げられもした。
ホタルイカも動物プランクトンを追って、日周鉛直運動をしているし、ホタルイカやハダカイワシを追って、キンメなども鉛直運動をしているのである(やらない魚も多いけど)。
ますます分からなくなった?

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