林道中程から東のリスの森(右端)方向をみたところ。
湯河原林道は、標高500m〜600mあたりを東から西へ約12キロ続いている。
いつもリスを観察している場所はこの林道の東の端から西へ1キロほど行ったあたりから始まる、林道全体からみたらたった2キロのごく狭いエリアである。
その西側は面積は広いが松林やコナラが少なく、リスがいたとしてもごく少数だろうと思っていた。
笹薮が続く広い開放地にはもちろんリスは住めないし、これがあちこりにあるから、リスの移動もままならないはずだ。
しかし、リスの森にリスが少なくなったいま、同じ場所ばかりにこだわっていても進歩がない。そんなわけで今回初めて西側に森の中へ入り、リスの痕跡だけでも見つからないかと探してみたのである。
といっても、可能性のありそうな2カ所をちょこっとだけ。
最初のポイントは樅の木が林道周辺にたくさんある、林道入り口から西へ8キロほどの場所。
ここに作業道があったから、30、40mほど入ってみただけである。
ところがここに驚くほど太い樅の木が何本もあり、地面に松ぼっくりの鱗片のようなものが落ちているのを発見する。
根元付近で直径1m以上ある樅(?)の木の大木。
しかし、この樅の実の鱗片は松ぼっくりの鱗片の3、4倍の大きさで、やけにでかいし、よくみるとエビフライというか、芯のようなものもある。
まさか、リスの食痕か?
樅の実はどんなものだろう。松の実のように食べられるのか?
と、あたりの地面を探していると、なんと、リスの巣材の杉の薄皮が落ちていた。ウッソーっと思ったね。
これが落ちているなら近くに巣があるはずだ、と、見上げたら、すぐ、頭の上の樅の枝に巣を発見。地上から4メートルほどの高さしかない。(写真)
驚いたねー。
上の写真とは別の樅の木の枝に作られたリスの巣。高さ4mほどと低い。
しかし、周辺を探しても他に巣をみつけられなかったし、林道へ戻り周囲を観察しても、コナラが少しとクマシデ多数があるぐらいで、手入れのされない檜林が広がり、樅の実が食べられないとしたら環境はよくない。
ただ、樫の木らしき木が巣の近くに数本みられたから、この実がエサになっているかもしれない、と思った。
次に探索したのが、林道の終点近くで、源頼朝が合戦に負けて逃げ隠れたとされる「しとどの崫」の下あたり。
しとどの崫は林道から400m急坂を下るのだが、10数年ぶりにのぞいてみたら、崫の下に数本の松がみえた。
そこで、散策道をはみだし、松近くの倒木を探したら、なんと、ここに新しいエビフライ数個発見。
エビフライ発見! これがあるとがんばれる。
近くの根っこにも大量の鱗片を発見。転がり落ちそうな斜面。
リスがいましたね〜。
予想の範囲内ではあったけど、リスはたくましい。

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