今日は先日見つけたリスの巣の周辺を探りに行ってきた。
この巣は白銀林道から水源へ上る山道の途中にあるが、いつも同じところを歩くのも何だし、道沿いに数10mほど外して、林の中を行けるところまで行ってみみることにした。
すると、林道周辺でみかけることが少なくなったノウサギのフンがあちこちにころがっているではないか。
ここで何を食べているのだろうと、周りをみわたすと笹が途中からすぱっと切られているのが目にとまった。
ノウサギがヒノキや松の葉を食べるのは知っているが、こんな固い繊維ばかりのものをパンダみたいに食べるだろうか?
誰かがカマかナタで切り払ったのじゃないだろうか、と疑った。
さらに周辺を調べると、すぐに10数本の同じ切り口をもった笹を発見する。そしてこれらはパラパラと場所が離れており、とても人が切り払ったように思えなかった。
しかも、メジャーを当ててみたら切り口の位置がみな地面から40センチ前後とそろっているし、人が切るには低い。
それに切り口をよく見ると、下顎の切歯で下から上に向けて切り落としたようで、切り口の下側は一度で歯が立たず、ズズっと滑っている。
また、切り落とした先っぽをどうしただろうと見渡すと、これがあちこちに転がっていて、2つ、3つに分断された状態のものもあった。
長い笹は短く切り分けているのである。
その先端部をみると、笹の葉の大部分がないものが多かった。ウサギは笹の幹を食べているのではなく、笹の葉を食べていたのだ。
笹薮が密になったところで山道に戻り、一息ついていると、目の前になにやら先ほどの笹のような切り口をもつ植物があるではないか。
よく見るとノイバラのようだが、まさかこれもノウサギの仕業?
切り口や地面から40センチあたりで切られているのを見ると、やはりノウサギのようである。
下には切り落とされた部分があり、しかも、笹と同じで3つに切り離されている。
これの新芽でも食べているかもと調べると、芽は欠けていない。
しかし、二つの切り口が、鋭角でなくて、臼歯で齧られたような跡だ。
こんなトゲのあるのをワザワザ食べなくてもと思うが、ノウサギはこれの先っぽの軟らかい部分を選んで食っているようである。
そろそろ先へ進まなくっちゃ、と思ったらノイバラから10メートル先でまた鋭角な切り口を発見する。
ノウサギは何でも食べるもんだな〜と思い、ノイバラと同じように下の
切り落とされた枝を拾って観察したらどこも食べた跡がない。
ン? どうなっているの? と切り口を見ると、包丁でも振り回したようにすぱっときれいにいっている。
しかも、地面からは65センチの高さがある。これはウサギじゃ届かない高さ(?)、もしくは切り易くない位置だし、そもそも何も食べてないのである。
よって、これは水源をメンテするオジサンが最近カマかナタで切り払ったものと判断した。
山道を進むと、両脇に背の高い笹がびっしり出てくるのだが、ここでもナタで切り払ったものがたくさん出てきた。
ややこしいったらありゃしないが、今回しっかり観察したからちゃんと見分けられるようになったのだ。
やっとリスの巣に近くまできたら山側の斜面の笹薮の中でガサゴソと音がしはじめた。
駆け足で近付いているようで、音がどんどん大きくなり、ブッシュの中で誰だか分からず、撮影するには望遠レンズは近すぎるし、オロオロしていたら、もうイノシシやクマぐらいしかないだろうというぐらい音が騒がしくなって、恐怖を感じてきた。
そして笹が途切れて開けた場所に大きなイノシシがダダッと出てきてすぐにブッシュの中へ消えていった。
でかかった〜! 80キロから90キロぐらいありそうだった。
1、2秒の間ほぼ全身が見えたから、カメラをかまえて待っていれば部分的でも撮れたかも。
今回はウサギの話がメインなので、イノシシはここまでにするけど、ほんと驚いたのだ。
このイノシシが出た下ばえのない半径10メートルほどの場所は、山道から笹薮を3、4メートル薮こぎした山側斜面の中にある。
不思議なのは、周囲は密度は薄いが笹薮なのである。なぜここに開けた10円ハゲのような場所ができたか。
登ってみると、笹薮の中にも開けた場所にもウサギのフンがたくさんあり、ウサギが笹を食った跡も多数見られたのだ。
湯河原の白銀林道周辺にシカはいないから、シカによって開放地は造られない。なのに、笹薮の中に笹の無い場所がところどころある。
これらから考えると、笹薮の中開放地の有無は、ノウサギが居るかどうか、生息場所として選択するかどうかで決まるるのではないだろうか。
その可能性が高いと強く思ったのだ。
続く。

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