昨日、福浦港を襲った波は、私が過去に経験したことがない大きなものだった。
台風27号も28号もはるか遠くにあり、風もないのに、沖側の高い堤防の上に海面が見えるほどの大きな波で、軽々と堤防を超え港の中に流れ込んだ。
普通の台風なら堤防に波が当たり、高さ10m以上の大きなしぶきをあげ、その白い泡のような波がザザザーっと港へ流れ込むぐらい。
それが、今回、厚みのある波がそのままダーンと港へ入ってきたのだ。
なので小さな港の中は洗濯機の中のようにもまれていた。
これではまだよく状況が伝わらないよね。
福浦港では波の大きさは、堤防より、港の入口を見ているほうがよくわかる。また迫力もある。
港の入口には東堤防と西堤防の端が直角に向き合っている。
で、東堤防が西堤防の先端より10mほど飛び出しているから、沖からくる波が直接港へ入ってこないしくみ。
東堤防の高さは凪なら海面から5メートル以上あるが、大波のときは堤防にいきなり止められた波がその断面を入口に見せる。
そして、そのまま低い西堤防の前を走り、うなりをあげて海岸にぶち当たる。
それが今回は堤防より高い波だから、押し寄せるたび、入口に5メートル以上の壁ができるのだ。それが西堤防よりはるかに高く走るから、あたかも大荒れの海の中に小船でいるような気分。
見ているだけで怖いのだ。
でも、私が港へ様子を見に行ったのが12時頃で、これに驚いてて真鶴港へ行ったら、こちらはまったく問題なし。
で、安心してお使いなどやっていたが、あとで仲間から連絡が入り、荒天準備で陸に揚げていた船の一艘が波で倒された、というのである。
また、ほとんどの台風で、小船なのに陸へ揚げない猛者がいるが、これも転覆したという。
私が見たときは波にもまれながらも浮いていたが、1、2時間後ぐらいにピークがきたようだった。
このときの波の大きさはどのぐらいだったのか。
普通の台風では陸揚げした船の底を波が洗うようなことはない。私が見てたときもまだ余裕があった。
それに船は両サイドから地面にロープが張られ、簡単に倒れない。
それが倒れたのだから、厚みのある波が港から這い上がってきて、船の真横で人間の腰や胸ぐらいの水深にはなっただろう。
そいつはスロープを駆け上がり、ずべての陸揚げされた船を通り越し、道路にまで達したのである。
75歳の漁師が、20数年前にも一度あったが、今回の方が大きかった、と言っていた。
また、市場の中も海水が洗ったというのだ。
市場は港の道路から50センチぐらい高い。その道路から1,4mぐらい下が船着き場。海面はそこから50センチ以上低いのが普通。
港の海面がそれほど上がったわけでなく、厚く勢いのある波が這い上がったのだろう。それにしても堤防が役目をはたさないぐらいの波だったのは間違いない。
こんなに文章書かなくても、写真で一発だったのだが・・・。
今日は6時前から12時過ぎまで港で作業したり、船を廻したりしていた。
台風はこりごりだね。

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