オオミズナギドリ/エサが近くのときは海面の鳥も羽を立てている/
前項でハシボソミズナギドリを相模湾の鳥としたが、沖合で一番多いのは写真のオオミズナギドリである。
今回はこのオオミズナギドリとカツオの不思議な関係を紹介してみよう。
このオオミズナギドリもハシボソ同様、カモメのように陸地に寄らないから、一般によく知られてない鳥かもしれない。
でも、陸から沖を見て、大群の鳥がいて、それがカモメ類でなければまずオオミズナギドリである。
過去のブログで一度オオミズナギドリを紹介しているが
http://white.ap.teacup.com/takezou/451.html#comment
通常は数10羽ぐらいの群れで行動しているのに、エサが豊富だとときに一万羽ぐらいの大群をなし、大変な騒動になる。
オオミズナギドリのエサの主食はたぶんカタクチイワシだろう。
私はそれ以外見たことないが、オオミズナギドリは海中に潜ることがほとんどできないから、あとは海面に浮いているシラスやイカ類ではなかろうか。(オキアミを食べるハシボソはかなり潜水するはず)
しかし、カタクチイワシの泳層は広いし、海面にいる時間はほとんどない。そんなのをよくぞ主食として生きることができるものだ。
漁師がカツオ漁をするときまず探すのが鳥である。その鳥がこのオオミズナギドリである。
漁船のブリッジや見張台から大勢で双眼鏡を手に360度目を皿にして探すのだ。太平洋を一日中走っても鳥が見つからないときもあるのだろう。
そんなだから誰が考えだしたか鳥を探すための鳥レーダーという特殊なレーダーを搭載している船もある。
だけど、探すのは一羽二羽の鳥ではない。
最低でも数十羽から数100羽の群れで、鳥山を形成しいているもの。
鳥山とはカツオに追われたイワシの群れが、逃げ場を失い海面近くに団子状にかたまり、それをオオミズナギドリが空から突っ込んで捕食したり、首だけ海中に入れて食べたりしている状態。
何もない水平線に黒い山があるように見えるから鳥山と呼ばれているのだ。
ボートを走らせているとオオミズナギドリは一塊の群れで海面に漂いよく休んでいる。ただ、数羽が常に偵察飛行をし、間隔をあけ広くエサを探している。その鳥がエサを見つけると、何度か急反転し、ホバリングしながら海面に突っ込む姿勢をとる。
たぶん、これを見ていた周囲の偵察鳥がみなそこへ集まり、それをまた遠くから見ている休み鳥の一群も一斉に飛び立つ。
ボートで鳥を探していて、一羽も見えない海面が10キロぐらい続いてまた偵察鳥が出てくるから、オオミズナギドリは10キロぐらい先の仲間の動きをノロシのようにつないで情報を得ているのだろうと思っている。
ボートのいる写真はサバに追われたイワシの群れが海中にいて、オオミズナギドリが広範囲にバラバラしている状態。
これも一応鳥山と言うが、カツオの場合とはまったく違う。
カツオは円を描いて高速でイワシの群れを取り囲み、海面に追いつめて団子にする。だから鳥山になるのだ。
これをやるのはマグロ類だけで、ブリ系もサバ同様一方向に追っかけるだけ。
なので、イワシは海面に逃げたり、深く潜ったりするからオオミズナギドリは効率よく食べられないだろう。
●サメ付きのイワシとカツオ
あるときカツオを探して誰もいない水平線へボートを走らせていて、大きな鳥山を発見した。
勇んでエンジンの回転を上げ近づくと、鳥山の中で大きな水しぶきが上がった。
何だろうと見ると、なんと大きなサメが2匹いて、口を広げてガツンとでかい音を響かせた。
カツオに取り囲まれたイワシが大きな団子になって、サメの背中にまでまとわりついているすごい状態なのだ。
そして一匹のイワシが海面から飛び出したと思ったら、そのあとを追いカツオが飛び、イワシを捕らえた。
鳥はいまがチャンスとばかりにイワシを食べるのに夢中。サメは体をひねって盛大にガツンとやっているが、カツオを食べようとしているのか鳥なのか、それともイワシなのかよく分からなかった。
それもあたりまえで、私も興奮して釣りに夢中で、しかしやっとこさ3キロものを数本とっただけ。
釣りスタイルはトローリングだけでキャスティングなどなし。このとき、へたなルアーをイワシの群れの中に通すと見比べられ、釣れないというのを勉強した。
また、海面に浮いているサメや、2メートルぐらいジャンプし、大きなしぶきを上げるサメを何度も見てきたが、これがこのサメ付きの群れと結びついた。
泳ぎの決して上手くなさそうなサメが深い沖合の海の海面に浮いていて何を食べているのか不思議だったが、ジャンプして派手な音を立てることでイワシに存在をアピールしていたのだ。そんで、カツオなどに追われたイワシがサメを逃げ場にするということだろう。
話は戻るが、水中深く潜ることができないオオミズナギドリが、鳥山をつくるカツオがいることで生きていかれるのである。たぶんサバや青物だけでは無理だろう。
近年カツオが不漁である。
たぶん巻き網船などが世界中に出かけて獲ってくるからで、資源が枯渇しているのだ。
石巻漁港で聞いた話では500トンの巻き網船が16ノットで南下して、2昼夜で赤道まで到達するというのだ。
これもグローバル化の嵐だし、オオミズナギドリも数を減らす運命にあるのだろうか?
★釣り情報
16日は3名でマダイ五目。
マダイは1枚で、アマダイ10匹ほどとイトヨリ多数。平ソーダー、大サバ、などなど。
17日は5名でマダイ五目。
マダイは4キロの特大が一枚だけで、アマダイ、イトヨリ、平ソーダ、アジ、サバ、などなど。
18日が1名でマダイ五目。
マダイはスカだったが、800gほどのマハタ、アマダイ2匹、アジ4匹、イトヨリ、平ソーダ、カイワリなど。

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