写真は25日に久々に発見したニホンリスのエビフライであある。
このエビフライ、たとえば拾ってきたものをみただけでニホンリスのものか、ネズミのものか確実な同定ができないことは以前紹介した。
同定は、最終的に採集場所や状況をみて判断するしかない、とリス研究の第一人者 林(旧姓 田村)典子さんに聞いたのである。
ただ、倒木の上のエビフライは、リスとネズミの性質を比較し、ほぼリスのものであると同定できる。
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また、穴や倒木の下などリスが入れないような場所にあったものはネズミのものなのが確実。
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そして、これらの形状を基準にし、他の場所で見つかるエビフライもリスかネズミかアバウトに判断してきたのである。
上の写真は、先日の野生生物探検隊の探索のおりに採集してきたエビフライ。散策道上に数個落ちていたものの一つで、製作途中で放棄されている。
これを家に持ち帰り、手にとってじっくりながめていたら、以前からの疑問がまた頭をもたげてきた。
リスのものである倒木の上にあるエビフライは、これまで観察してきたたぶん1000個をゆうに超える数の中でたった一つを除き、みな細身の形状で、鱗片を根元からかじり落としているものだった。
ところが、調査するうち、リスの巣の下などに、ふくらみのある太いエビフライが細身のエビフライと交じり、かなりの数見つかるようになってきたのだ。
ネズミのエビフライは鱗片を根元からでなく途中からかじるから、太い。ここから、はじめは太いものはネズミのものとしたのだが、どうも確信がもてなくなってきた。
そこで自分で調べ始め、田村さんに質問したのだった。
で、その疑問はまだ継続中なのである。
そして今回持ち帰った製作中のエビフライを、私はネズミが作ったものとあらためて判断した。
その理由は、これまでの太さからでなく、鱗片のかじり方にあった。このエビフライは鱗片を少しずつ小さく砕くように切り取っているからである。
保存しておいたエビフライ30個ほどを引っ張りだしてきて、あらためてルーペでのぞいて比較した結果、新たな形状の違いに気づいたのだ。
エビフライは松ぼっくりが閉じたものを食べたか、開いたものを食べたかでそのフォルムが違う。
そして、これまでネズミのものかリスのものかきっちり判断できなかったのが写真上。
開いた松ぼっくりの鱗片を途中から切り落としているから、ふくらみが大きい。(下のもたまたま大きいが、鱗片をすべて根元から落としている)
しかし、次の角度を変えた写真をよくみてほしい。
右が鱗片の開いた松ぼっくりで、左は閉じたものを食べたのだが、鱗片の切り口がどちらもスパッと切れている。右のエビフライを、太いし、これまでネズミのものかもしれないとしていたのだが、フォルムは穴の中のネズミのエビフライと似ていても、どこか違う気がしてあらためて確認してみた。
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そしたらやはり違った。(穴から取り出して撮影)
もっとよくみていくと、エビフライのしっぽの方の鱗片は、もう一つのリスのものが確実なエビフライそっくりに、根元からかじられているではないか。
そこで、持ち帰った製作中のエビフライをも一度見直しでみると、切り口がギザギザしている。スパッと切れてない。
また採集した場所からもネズミの確率が高いのである。
『リスはネズミより口が大きいから、松ぼっくりが閉じているものは鱗片の根元から、開いているものは途中から、どちらもスパッと切り落とす。』
ネズミのエビフライの切り口と比較するかぎり、まずこれで間違いないと思うが・・・。まだまだ観察が必要だ。
左二つは採集場所からネズミのものである。そして、写真右が今回あらたにリスのエビフライとしたものである。
隊長の持ち帰られた分はどんな切り口だったのだろう?

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