今日は白銀林道のカエル調査に行ってきた。
哺乳類をあきらめ、大型猛禽もスルーし一気にカエルへいってしまったのはリス観察を開始してからたぶん初めてである。今回は一度も300ミリレンズを装着することがなかったのだ。
林道脇の花を撮影しながら、林道の西側方面、白銀橋より先の水たまりが多いエリアへ行き、カエルを観察することにした。少し前なら考えられない探検スタイルだ。
ニシメガネザルさんのコメントから、思いもよらぬタゴガエルなる名前が浮上してきたのと、せっかくのチャンスだから哺乳類の重要なエサになるカエルを少し調べてみようと思ったのだ。
といっても明確な方針があるわけではなく、オタマジャクシの状況をみたり、鳴き声を聞いたり、うまくすれば姿が見られるかも、ってぐらい。
そして、前回の水たまりへ行ってみたところ、オタマジャクシも見えず鳴き声もしなかったので驚いたのである。しかし、顔を近付けよくよく探してみたら前回より小さいオタマジャクシがやっと数匹、枯葉の下から出てきたのだ。
今朝久々に雨が降ったが、それまで晴天が続いていたから水が涸れてオタマのほとんどが死んだか、誰かに食べられたか、それとも大きいやつは落葉の下に隠れてじっとしているのだろうか。
ともあれオタマの種類は前回と同じであるようだ。
このオタマを狙っていたのだろう、気の早い沢ガニが水面あたりに一匹出ていた。
西へどんどん進むと道路のあちこちに水たまりがあり、大きなものの中にはカエルの卵魂が一つ二つ漂っていた。
また写真の側溝にはたっぷり水が溜まり、カエルの卵魂が4つもあった。
それを見て気付いたのが、卵魂の形態にいくつか違うものがあることだった。
一つは、長〜い半透明な寒天状のヒモとでもいうべき、太さ1cm以上、長さ4、5mもありそうなもの。
こんなのがカエル一匹の腹に入るわけがないので、卵の成長とともに卵魂も大きくなっているのだろう。しかし、あまりに大きすぎて気持ち悪いほど。何倍になるのだろう。
図鑑でこんな卵魂を作るカエルを探したら、ニホンヒキガエルに同じようなものがあった。
二つ目は、やはり寒天状ではあるけど、ヒモ状ではなく両手からはみ出すぐらいの一つの塊になったもの。
これはわりと多くのカエルが作るようでニホンアカガエルやヤマアカガエル、トノサマガエルあたりも同じようなものだった。
三つ目は、握り拳より小さいぐらいの寒天部分が少ない黒と白の混じりあった固まりである。
これを調べたらタゴガエルの卵魂がかなり似ていた。
これらからみて、ここには最低3種のカエルが混在していて、せめぎあっているのが分かる。
同じ水たまりに卵をうむぐらいだから、そうとうきびしい競争かも、なんて考えながら戻りはじめたら、一つの水たまりに小さな波紋が立った。
ムムム! ひょっとして・・・。
いそいでクルマを降り、水たまりをのぞいたら、いましたね〜。卵魂からすると案外小さなカエルだった。
こいつは卵を産んだばかりなのか、よろけるほど弱っている。よく見ると腹が極端にへこんでいる。卵の量から考えても体のボリュームが半分ぐらいになっているのではないだろうか。
こいつはヤマアカガエルだろうか?
棒で水から出そうと突っついてみたが、必死で深みへ戻ろうとするし、かわいそうなのでやめてしまった。
水たまりには産み落とされたのち、水が乾いたせいかやせて泥まみれになった卵魂がいくつもあった。これらが復活することはもうないだろう。
毎年道路上の水たまりに卵を産みつけるけど、しかし今回ほどあちこちに見たことはなかった。
道路上にあれば当然クルマに轢かれるだろうし、落ち葉などないからオタマになっても隠れる場所もなく容易に食べられてしまうのが想像される。
これは道路工事で林道脇の斜面が整備され、水の滲み出す量が減ったせいだろう。以前はもっと斜面や路肩部分に水たまりがあった。鋪装されればもっとカエルが減り、イタチやテンもごちそうを失う。
未舗装の道路はいろいろ味わいがあっていいのだけどな〜。

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