ここ最近の近鉄は22000系のリニューアルや在来車の塗装変更等特急車に関してはかなり力を入れているように感じられますが一般車については長距離向けのトイレ付き車両ですら車齢40年以上の2610系が未だに多く、3扉転換クロスシートの5200系やL/C車として新造された5800系・5820系もいるものの土休日ダイヤの午前中に大阪上本町を発車する下り阪伊間急行の完全クロスシート化はまだ出来ていません。それでも10年前に比べると洋式トイレの車両が増えたりしているのでサービスは良くなっていますが・・・
上本町を午前中に発車する阪伊間急行でL/C車が使われているのは621レ(6:12発)と821レ(8:15発)、921レ(9:15発)の3列車ですが621レは宇治山田行き(実際は宇治山田から871レになって鳥羽まで運行)で名古屋線所属車両が充当されるので大阪線所属の5800系・5820系が使われるのは821レと921レ(どちらも五十鈴川行き)だけです。五十鈴川では1番のりばに到着して直接折り返しますが充当される車両は毎回変わるので何度見ても面白いです。写真は921レで到着し折り返し1120レ(11:51発)になる5800系DF11です。
5800系の車内です。日中の長距離急行なので座席は当然クロスシート状態になっていますがモケットが赤に変わってから5820系に近い感じになり、「これぞ近鉄の一般車」って思ってしまいました。元は薄紫でしたが張り替えられる前は色褪せていたので5820系に比べ大きく劣っているって感じたこともありました。
L/C車はデュアルシートと呼ばれる可変式座席が採用され、必要に応じてクロスにしたりロングにしたりしていますがクロス時は座席下のペダルを踏んで手動で回転させることが可能で、ボックス状態にしているのを見ることも度々あります。ただ座席と窓の位置が合っていないので景色を見るのが難しく、それが残念なところです。
モ5800形の乗務員室寄りには優先座席仕様のデュアルシートがあり、モケットがグレー系なのが特徴ですが仕切り板のクッションは赤なので違和感があります。色が違うと特別席のようにも思えますがそれも5800系の面白いところです。
5800系は近鉄のL/C車で唯一妻面に窓がありますが、オールロングシートの1620系等に比べると小さく開放感は落ちています。逆に貫通扉の窓は大きくなり遠くまで見渡せるようになっています。
車端部はロングシートですがデュアルシートに合わせてヘッドレストが取り付けられており、普通のロングシートに比べグレードが高いって感じることもあります。5820系では普通のロングシートになっているのでこの部分は5800系の方が上って言えます。
モ5800形の乗務員室仕切り部です。5200系に比べると窓は小さいですが前面展望は問題なく出来ます。右側にある避難はしごは後から設置されたもので普段は写真のようにグレーのカバーで覆われています。
左上にはローレル賞のプレートが取り付けられていますが近畿車輌のプレートを外して取り付けているため近くで見ると僅かに取り付け穴が見えるのがわかります。5800系は1998(平成10)年受賞ですが5820系も2001(平成13)年に受賞しているので近鉄のL/C車は連続受賞の快挙を成し遂げており、特急車のブルーリボン賞と同じ位凄いことだと思っています。
右上には非常用ドアコック(カバー)と車番プレートがありますが最近はB更新車も似たような仕様になっているのでアップで撮影すると「B更新後の丸ボディ車みたいだな」って思ってしまうこともあります。黒文字のステンレスプレートもB更新車に採用されていますし・・・
最後は車内案内表示器です。5800系には当初これが取り付けられておらずドアチャイムもありませんでしたが現在は全ての編成に取り付けられ、後付け感はありますが5820系と同等のサービスを提供出来るようになっています。サ5710形に設置されているトイレは和式のままで洋式化はされていませんが5200系が車体更新で全編成洋式化され、2610系もB更新で洋式化した編成がいることを考えると座席モケットを一新した時に洋式化した方が良かったのではって思ってしまいました。あと数十年は活躍する車両なのですから・・・