月星虹風

クーちゃんがかなりのマーカーだというのはすぐに見て分かりました。
しかもマーキングしたあとに、物凄い派手な地面ケリケリ！
結構気が強いお坊ちゃまだことね？

マーキングにはいささか食傷気味の仮母は、弟さんと別れた後その足で病院に直行しました。
1日でも早く去勢手術を受けさせ、マーキングの被害を少しでも防ぎたかったからです。

ところが病院に着いていざキャリーから出そうとすると、物凄い唸り声をあげるんです。
なだめてもすかしても、声を掛ければ掛けるほど唸る唸る・・・
ああ〜柚ちゃんと同じだわ〜　嫌な予感〜

仕方がないのでキャリーごと病院に運ぶも、ずっと唸りっぱなしなんです。
診療台に上げても止める気配なし・・・

もしも獣医師さんのことを咬んだら申し訳ないので、「 先生、どうしましょう？咬まれてもつまらないですよね？また今度出直しましょうか？」と伺ったのですが、先生はおもむろにオヤツを持ってこられ、それで何とか釣って診療が無事に終わりました。さすが！

でもね・・・とっても残念な事に、痩せ過ぎで手術を受けられないからと、随分先の手術予定日になってしまいました。
確かに腰骨が掴めるほどに痩せていましたし、今現在でも食べても食べてもあまりに動きが激しいので全然肥らないんですね〜

そんな事でガッカリしながら帰って、クーちゃんをキャリーから出そうとするとまた唸るんです。
その時点で夜も8時を回っていたので、何だか戦意喪失してそのまま玄関に放置プレイしてしまいました。

人の気も知らないでそうやって唸ってぇ〜！とその時は思いましたが、考えてみたら大好きな飼い主さんが急に目の前から消えてしまって、知ってる人の所に移動したと思ったら、また今度は全然知らない人に渡されて・・・
何も分からないクーちゃんは、怖くてどうしていいのか分からなかったんでしょうね？


翌朝玄関のキャリーを覗くと、一晩経って落ち着いたのか？シッポフリフリのクーちゃんに変わっていました。
柚ちゃんの再来？とビビッていたので、ほっと一安心でした。

しかし！それからがいけません！
場に馴れて本来の気の強さが出てきたのか、物凄い要求吠えの嵐が吹き荒れ始めました。
確かに随分甘やかされていたと伺っていましたが、とにかく自分の置かれている状況が我慢出来なくて吠える吠える！

何度吠えるのを止めなさいとたしなめても全く止める気配もなく・・・仮母カッチ〜〜〜ン！
悪い子ちゃんが大っ嫌いな仮母は、そのまま首輪をひっ掴んで猛獣館へポイッ！生活指導の月丸先生の元に預けたのでした。

あにぃ！煮て食うなり焼いて食うなり好きにしてええでぇ〜
月丸先生、ご指導よろしくお願い致しますね！


当時まだ未去勢だったクーちゃんは男気全開！
こともあろうに月丸あにぃに食って掛かる！吠え掛かる！

「 ふっ・・・命知らずな・・・まあそのうち分かるわよ〜犬は犬から学べってね〜」
仮母は側でそのやり取りを、ニヤニヤしながら眺めていたのでした。


そして3日間の楽しい合宿が終わった頃には、とっても大人しいいい子ちゃんに大変身していたのでした。

クーちゃん、いい子にしていないと幸せがやって来ないわよ？
この世の中で一番えらいのはクーちゃんぢゃないんだからね？
とても頭のいいクーちゃんは瞬時に全てを悟ったようでした。

それは・・・

・極道に絡まれても相手にしない・・・
・極道に睨まれたら目をそらす・・・
　　↑違うって！

とにかく己の立場を悟ったクーちゃんは、あれよあれよと言う間に大人しくなったのでした。


月丸あにぃ！おつとめご苦労さんでござんしたっ！
月丸先生、どうも有難うございました。

それにしても月丸あにぃ、リアルで頬に傷があるんですけど？
眉毛剃った跡もあるし・・・
何だか年々迫力が増しますよねぇ・・・
８９３屋さんによくいますよね？こういう顔・・・

そんなこんなで恐怖の洗礼を受けたクーちゃんは、生活の全般に変化が見られるようになって来ました。


　　　　　　　　　　これからもっと怖い洗礼を受けるんぢゃ
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