
時々、時間が停まったかのような錯覚に陥る。
その瞬間を待ってオレはじっと動かずただ立っていた。
・・・風が止まった。
草の揺れが止まった。
雲一つ無い青空。
時が止まった・・・。
湖の中に別の世界が見える。
今なその違う世界に行けるのではないか。
そんな事さえ真剣に考えてしまう。
そしてオレが意を決して飛び込む前に、風は吹く。
時は動き出す。
次の瞬間を待ち、オレはまたじっと目の前だけを見つめる。
「すみませ〜ん。シャッター押してもらえます?」
「あ、いいっすよ。はい、ほな後ろの景色しっかり写るとこで!はい!そこそこ!あ、危ないよ、お父さんより後ろ下がったらあかんで!はい!ほな行きま〜す!3,2,1、FIRE!・・・はいOKです!」
こん畜生・・・
これで何度目だ・・・!
段々手際が良くなる自分が腹立たしかった・・・。

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