「なんで握力とか測らされたんだろ・・・?」
手術室に向かいながらオレはどうしても腑に落ちない握力測定を思い出していた。
手術をしてくれることになった先生が淡々と自己紹介をするのを上の空で聞いていると、突然総掛かりで服を脱がされた。
ところで何故全員女性なのだろう・・・。
少々の疑問を感じながらも最早なされるがまま。
手術室はドラマなどによく出てくるそれとは違って随分と明るかった。
体を横向きにするよう言われ、鳥肌が立った。
「ピッ・・・・ピッ・・・。」という心拍数の音はドラマのままだ。
とうとうやるのか・・・。
下半身麻酔の注射は「ちくっ」ではなかった。「グサッ」である。
「まだ感覚ありますか?」
あるある!
まだ切っちゃヤよ。
・・・・。
どさっ
????
「よっしゃ。」
声が聞こえた。
ん?
ここは?病室?
「大丈夫?」
ん?
タッチー・・・?
寒いなここ・・・。
足が動かない・・・。
そっか、麻酔したんだっけ・・・。
うわ・・・なんだこれ・・・。
粘土細工みたいな感触・・・。
なんか毛が生えてる・・・。
なんやこれ・・・?
オレの足か・・・。
意識が再び遠のいていく。
タッチー・・・。
頼みがあんねん・・・。
明日来るパラ達に家のカギを・・・。
寒い・・・。
ここで意識は途切れた。

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