★精霊少女の報告
前回で、昨年の夏以降の記事総括を終えたNOVAとハイラス。
そこに飛び込んで来た花粉症ガール、粉杉晶華というところで続いたわけですが……
晶華「NOVAちゃん、大変よ」
NOVA「何だ、一体、何ごとだ?」
晶華「うん、実はね……」
NOVA「タイムジャッカーが攻めてきたのか?」
晶華「違う、そうじゃなくて」
NOVA「だったら、リバTの中のバットクイーンが目覚めたとか?」
晶華「それも違う。話を聞いて。実は、NOVAちゃんの倉庫の本を整理していたんだけど……」
NOVA「何だと? それは一大事。無事か? 怪我はしてないか?」
ハイラス「妙なリアクションでござるな。まるで、本の整理がちょっとした冒険のような……」
NOVA「いや、ちょっとしたどころか、かなり困難な冒険だぞ。何しろ、うちの娘は危なっかしい。崩れてきた本の下敷きになって、要救助対象者になったこともある。それに、俺の本には俺以外の人間がうかつに触れると発動するトラップが仕掛けられているからな」
ハイラス「どうして、本にトラップを仕掛けるのでござるか」
NOVA「そんなの常識だろう。大事な宝箱には、それを奪われないようなトラップが仕掛けられているから、ダンジョン探索には罠解除のできる盗賊キャラが必須なんだ。俺にとって、書籍資料は大事なお宝。大体、魔法使いの蔵書だぞ。厳重に守られているに決まってるじゃないか。そうでなければ、うっかりにも程がある。下手にいじれば呪われる禁断の書物なんかもあるわけで」
ハイラス「そんなものでござるか。魔法使いの常識は、一般世間の常識とは異なることが分かったでござる。魔法使いの書庫には、トラップと呪いの危険があることは肝に銘じておくとしよう」
NOVA「それで、晶華は大丈夫か?」
晶華「うん。崩れてきた本の下敷きになってしまい、思わずキューって鳴いたけど、KPちゃんとリバTちゃんに助けてもらったから」
NOVA「結局、下敷きになったのかよ。そろそろ生まれて一年経つのに、まだまだ危なっかしいんだな」
晶華「う〜ん、敵の攻撃に対してなら、とっさに殺気を感じて対処できるようにしろって、日野木アリナ老師が教えてくれたんだけど、本の殺気を感じることはできなくて」
NOVA「まあ、殺気を放つ本は珍しいからな。表紙絵とか装丁とか中の挿絵が禍々しかったり、誘惑光線を放ったり、文章に睡眠や眩惑効果のあるような書物は数多いが。殺気そのものを放つとなれば、モンスターみたいなものだ」
晶華「とにかく危険感知に失敗して、花粉分解で避けることもできずに、崩れてきた書物の下敷きになった私はキューって悲鳴を上げて、そのまま意識を失ってしまったのよ。NOVAちゃんの本があんなに強敵だとは思わなかったわ。気がつけば、KPちゃんとリバTちゃんに心配される始末」
NOVA「本の管理には、ライブラリアン技能が必要だからな。とにかく、お前が大変な目にあったことは分かった。今後は、うかつに俺の本には手を出さないように」
晶華「あ、大変な話は、これで終わりじゃなくて、実はこんな本を発掘したのよ」

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