@職業らしさって、なに?
リバT『それでは、前回の後を継ぐパラディン上級職の話です』
アスト「オレのクラシックD&Dな感覚では、パラディン自体が上級職に思えるけどな」
リバT『AD&Dや3版以降では、パラディンも基本職になりますからね。簡略されたベーシックルールあるいはスターターセットでは、ファイター、ウィザード、クレリック、ローグの4職だけですが、5版のプレイヤーズハンドブックでは、ウォーロック、ソーサラー、ドルイド、バード、バーバリアン、パラディン、モンク、レンジャーが加わって、全12職が基本職扱いです』
ダイアンナ「全てを説明するなら、当分、話のネタは尽きそうにないよねえ」
リバT『しかも、基本職だけでこれですからね。あと、AD&D1版にあったアサシン(暗殺者)や、4版のウォーリーダーが今は黒歴史です。まあ、アサシンはローグの上級職、ウォーリーダーはファイターや戦神のクレリックが特技の「激励する指揮官」を習得すれば似たような役割になれるかと考えます』
ダイアンナ「船乗りの背景を持つ者がその特技を習得すれば、船長と名乗ることもできるかもしれんな」
リバT『そうですねえ。自分のキャライメージに合わせて、どういう技能(スキル)や特技(フィート)を習得するか、あれこれ考えるのもキャラ育成の醍醐味と言えましょう』
アスト「スキルは2版、フィートは3版から採用されたルールだな」
リバT『ええ。それらのルールの付加によって、D&Dのキャラ育成の自由度は大いに高まりました。そしてTRPGゲーマーと呼称される人たちは、そのゲームにどのような職業クラスがあって、どんなスキルやフィートなどの技を習得できるか、データをいろいろチェックしてワクワクする人種になりますね。カードゲーマーでしたら、新しいバージョンが出たときにどんなカードが登場したか期待しますし、モデラーだったら新作プラモが出たときに気になるもの。言わば、単にゲームをする者をゲーマーとは言わないですし、その世界に夢中になっていれば、必然的に習得する知識や好奇心というものがあるわけですよ』
ダイアンナ「お宝と聞いて、反応しない快盗や海賊がいないようにか?」
アスト「いわゆる職業やアイデンティティー特有の精神性という奴だな。その道を追求していれば、当然出そうなリアクションが出せれば、『変身できなくても心は○○』と言えるわけだ」
リバT『小説家ライダーと聞いて、おおっと反応できるのが特撮好きの小説家。文章書きって、見た目よりも内面や設定に興味を示すものですし、見た目にしか反応できないのは、物書きというよりは絵描きや写真家の精神性と言えましょうか。言わば、何かにこだわって反応するということで「その人間やキャラクターのアイデンティティーを表明できる」わけですね』
ダイアンナ「『パラディンたる者、目の前の困っている人を見捨てていられようか』とか、『吟遊詩人たる者、面白そうな物語のネタなら喜んで調べたいものです。ただし、危険はなるべく避けたいところですが』とか、自分のアイデンティティーから生じる自己規定というものは、どんな職業にもありそうだな」
リバT『女王らしい振る舞い方、神らしい振る舞い方、小説家らしい振る舞い方など、それっぽい行動パターンというのがあって、肩書きも大切ですが、それよりも内面の精神性がそういう佇まいを醸し出しているかが、問題になりますね。これもロールプレイの範疇ですが、「らしい言動」が身に付いている人は周りがそう言う目で見てくれますし、公言している職業から外れた振る舞いは往々にしてがっかり感をもたらします』
アスト「逆に、『さすがは作家』『さすがはプログラマー』『さすがはアスリート』と感じさせる言動があれば、その範疇での尊敬や信頼感は得られるということだな」
ダイアンナ「自己規定と、それに相応しい言動か。女王たる者、どのように振る舞うべきか、考える必要があるな」
アスト「人魚のローラを見習えばいいんじゃないのか?」

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