@モンクと忍者の関係性
アスト「さて、久々のTRPG研鑽記事だ。今年はネコ科年なので、昨年からのモンク話と、マウ連合君主国のネコを組み合わせた天命、ワンダラー(求道者)について、話をしよう」
ダイアンナ「ネコ忍者の話になるのか?」
アスト「TRPGにおける忍者って、どういう立ち位置か作品によって異なるんだよな。盗賊の上級職というのが一般的だと思うが、体術を駆使した武闘家の一種と見なすことも可能だし、これに陰陽道的な忍術を組み合わせる魔法職の要素も加わる。例えば、D&Dでも3版では盗賊のヴァリエーション、4版以降では武道の流派の一種として扱われているわけで、昔は忍者といえば暗殺者、今は東洋の神秘的な道の探求者としてイメージ付けが為されている感じだ」
リバT『80年代は、忍者という職業の技術的な側面、理解しがたい者への恐ろしさが強調され、90年代に入って東洋文化への内面的な理解、精神論が深く掘り下げられるようになったようですね』
アスト「アメコミなんかに根差すアメリカのフィクションでは、忍者ってキャラは悪の組織の下請けとして暗躍する戦闘員集団なんだな。そこから正義のヒーローとして忍者を捉え直した作品が『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』だと考えられる。特殊薬品の作用で人型ミュータントに変身した4匹の亀が、人間の忍者ハマト・ヨシの飼いネズミがミュータント化した師匠スプリンター(あるいはハマト・ヨシ自身がネズミ人間に変身したという異解釈設定もある)の下で修行して、悪の組織フット団と戦うのが大筋だ」
ダイアンナ「亀の忍者かあ。鈍重な亀のイメージと、忍者ってミスマッチじゃないかい?」
アスト「忍者ってイメージが暗いだろう? でも、亀の忍者って設定にすると、コミカルな感じが生まれて、それまでの忍者イメージを払拭したエポックメイキングな作品に化けたんだな。84年にコミックが連載開始されて、亀忍者のネーミングは陽気なイタリア人風味にキャラ付けされて、87年のアニメ版では青のバンダナのレオナルド、赤のラファエロ、橙のミケランジェロ、紫のドナテロと戦隊風味のカラーリング分けがされた。それにヒロイン役の人間女性エイプリル・オニールと、ボーイフレンドの忍者見習い的なサポート役ケイシー・ジョーンズが加わる集団アクション活劇となる。90年からは実写映画3部作も作られ、日本で本格的に知られるようになるのは、その辺りからだな」
ダイアンナ「なるほど。人間のままだったら暗さが付きまとう忍者設定を亀のミュータントが派手に戦う形で昇華して、アメリカ風味の明るい忍者にブラッシュアップしたわけだ」
アスト「その後、90年代に入ってパワーレンジャーのブームが起こり、そこでも宇宙忍者のエイリアンレンジャーが登場して、パワーレンジャーもニンジェッティの能力を会得した。その後、亀ニンジャのタートルズとパワーレンジャーが共演したりするエピソードもあって、忍者ヒーローというのがアメリカでもメジャー化する流れが定着した。黒ずくめの忍者装束も、作品によってはカラフルにアレンジされたりな」
リバT『忍者の本来持つ厳格なシリアスさを師匠キャラに持たせ、主人公の若者は明るく軽く忍者修行を行うポップな忍者ということですね』
アスト「そして、アメリカンスタイルのポップな忍者の流行を、同時並行的に吸収して相互影響を与え合ったのが日本の戦隊のカクレンジャー、ハリケンジャー、ニンニンジャーの流れだな」
リバT『カクレンジャーは1994年、ハリケンジャーは2002年、そしてニンニンジャーは2015年。およそ10年ごとに忍者モチーフ戦隊は作られています』
アスト「そして、忍者モチーフは、元祖の恐竜モチーフと並んで、パワーレンジャーでも人気シリーズとして力を入れて扱われているわけだ。敵戦闘員として扱われた忍者が、ヒーローとして扱われていく流れがTRPGにも影響しているんじゃないかなあ」

0