★時空魔術師、来たりて
NOVA「と言うことで、20周年記念前にどうやら悪霊退治をしないといけないかもしれない」
アスト「ハッ? 何が、と言うことなのか、前置きも何もなく唐突に話して、ちっとも分からん。分かるように話せ」
NOVA「察しが悪いなあ。かくかくしかじかだよ」
アスト「それで分かるか! TRPGで『一度した状況説明を繰り返すのを省略するテクニック』を使っているんじゃねえぞ。お前の頭の中を、全ての人間が分かると思うな。ただでさえ、異次元人みたいな頭の中をしているんだから、まずは、お前がここにいる理由から説明しろ」
NOVA「俺が今回ここにリモートでなく、直接来たのは他でもない。いよいよ来週に迫った11月16日の20周年記念祝賀会へのお誘いと頼みごとのためだ」
アスト「お前が他人に直接、頼みごととは珍しいな。大体、やりたいことは一人で解決して、他人の力を当てにしない独り善がりな奴だと思っていたが」
NOVA「『他人の力を当てにしない』は褒め言葉だが、どうして『独り善がり』なんて貶し言葉を付けるんだ? 俺はそんなに『独り善がり』に振る舞っているか?」
アスト「結構、『俺ルール』って言ったりするだろうが」
NOVA「『俺ルール』は俺自身を縛るルールであって、他人に押し付けているつもりはないんだがな。俺は基本、『自分に厳しく、他人に優しく生きているつもり』で、だけど『その優しさに甘え続けて害を為す人間には強烈にしっぺ返しをすることも稀にある』程度だぞ」
アスト「まあ、『独り善がり』というのは、他人の意見を聞かずに、自分だけが正しいと思いこんで好き放題に振る舞う態度だからな。お前が他人の意見を聞かないとは思わんが、それ以上に自己主張が強すぎた場合、自分の意見が通らなかった相手、自分の主張を拒絶された相手は、『独り善がり』と文句を言いたくもなる」
NOVA「つまり、客観的に他人の話を聞かないのか、それとも特定個人の意見を却下するのかによって、独り善がりの意味が変わってくるってことだな。まあ、総じてコミュニケーションが不得手な場合に、独り善がりが発生しやすいと考えるが」
アスト「オレに翔花ちゃん救出の手伝いをさせろ」
NOVA「お前の力は借りん。どうせ、それで恩を売って、翔花と付き合わせろ→翔花を寄越せ、とエスカレートするに決まっているからな」
アスト「そうやって決めつけるところが、お前が『独り善がり』と言われるところだぞ。少しはオレの気持ちになって考えてみろよ」
NOVA「お前の気持ち?」
アスト「翔花ちゃんを愛しているんだ」
NOVA「知っている」
アスト「だったら何故、この気持ちを受け入れてくれないんだ!」
NOVA「翔花がお前のことを愛していないことも分かっているからな。お前を愛しているのは、ほら、そこにいるだろう?」
ダイアンナ「……アスト、お前はあたしというものがありながら、まだ浮気癖が治らないのか!?(ゴゴゴゴゴ)」
アスト「フッ、人は浮気をするもの」
NOVA「この局面でカリバーの真似をするとは、空気の読めない奴」
アスト「……ってか、オレは最初から翔花ちゃん大好きキャラで生きてきたんだ。この純愛は決して浮気じゃない」
NOVA「まあ、お前が翔花のことを忘れて、ダイアンナとハッピーな関係を紡ぐようになったら、話のネタとして面白くなくなるのも事実だがな。両思いのカップルになってしまえば、ラブコメは成立しない。やはり、想いのすれ違いこそがドラマを面白くする、と俺は思うわけだし」
アスト「というか、ラブコメを理屈だけで作ろうとするなよ。お前はそもそもラブコメに興味のない朴念仁じゃないのか」
NOVA「別に、恋愛に興味のない、女心を察しようとしない男を、朴念仁というわけじゃないんだがな。最近のラブコメは、そういう誤用が多く見られがちで、勘違いしている者も多いが」
ダイアンナ「つまり、ダディーは朴念仁ではないと?」
NOVA「朴念仁とは、頑固一徹で飾り気がなく、無愛想で人当たりが悪い分からず屋を意味するんだが、基本的にはマジメな職人肌で、遊びはせずに仕事だけに集中するキャラを意味する。俺はセイバーの大秦寺さんは朴念仁キャラだと思っていたんだが、前回の放送でロック方面に振り切れるキャラを見て、そうではないことが分かった」

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