★海賊サプリ購入
リバT『グランドマスターNOVAから、このデータが送られて参りました』
アスト「ほう。それが噂の海賊サプリか」
ダイアンナ「それさえあれば、あたしたちも新たな時空海賊船を手に入れて、宇宙の海を駆け巡ることができるんだね」
リバT『いえ。時空の海も、宇宙の海も無理です。このサプリで航海できるのは、パグマイア王国とマウ連合君主国の南に広がる〈酸の海〉です。さすがにD&Dと違って、パグマウの世界には多元宇宙や時空を越えた冒険ガイドはまだ用意されておりませんので、クラシックD&Dで言えば、ようやく青箱エキスパートレベルの頃合いでしょうか。要するに、こういうシナリオならOKかも、という段階ですね』

アスト「なるほど、青箱か。多元宇宙の冒険は、緑箱コンパニオンルールで初めて登場するものな」
リバT『ええ。エキスパートレベルで頑張って冒険を続けた結果、領地を獲得して、城を建て、コンパニオンレベルに達すると君主として領地経営に勤しむ。そしてマスターレベルになるにつれて、イモータルへの道が見えてくる。これがクラシックD&Dの壮大なキャンペーン世界観です。ただし、パグマウの世界では君主になる道は開かれておりませんし、その辺のレベルになると冒険活動を引退することが推奨されておりますが』
ダイアンナ「あたしたちは、アステロイド宮殿の女王と王だから、コンパニオンレベルと言ってもいいのだろうな」
リバT『形式的にはそうですね。だけど、国民はいないので税収はなく、領地経営の仕事もしておらず、せいぜい魔法使いの研究の手伝いと称した談話をしている程度。時代劇の侍で言うところの「部屋住み」という名の居候に相当する立場かと』
アスト「居候だと? 人聞きが悪いな。食客と呼んで欲しいものだぜ」
ダイアンナ「部屋住み? 居候? 食客? 言葉の意味がよく分からないな」
リバT『家族や親族でもないのに、他人の家で食事や生活の面倒を無償で見てもらっている立場の者を総じて居候と言いますね。ドラえもんやオバQなどの非日常な存在も、たびたび居候とされていますが、人格を持たない獣の場合はペットと称されることも』
アスト「つまり、ケイP一族だな」
リバT『いいえ。ケイP一族は当初こそ、花粉症ガールに拾われたドゴラ幼生体としてペット扱いでしたが、グランドマスターNOVAと契約を交わしてアシスタントモンスターという役職を得て、立派に働いております。言わば、雇われ奉公人の立場ですね。奉公人を居候とは呼びません』
ダイアンナ「食客は?」
リバT『居候の中でも、主人に忠義を尽くし、自身の持つ特殊な技術や才能を提供することで、居場所を獲得し得た者のことを指す場合が多いようですね』
アスト「奉公人とは違うのか?」
リバT『奉公人は正式な契約を結んで、恒常的な雇用関係にありますが、食客は不安定な雇用になりがちですね。一宿一飯の恩義という言葉もありますが、ヤクザ者や一介の旅人が地元の有力者の庇護に預かり、仁義に基づいて住まわせてもらっている身。主人は親切心で面倒を見ることもありますが、向上心に溢れた若者を世話することで地元の名士として尊敬されるという名誉欲を満たすこともできれば、労働力の助けにもなりますし、世話した若者が出世することで将来のコネにもつながる。顔の広い有力者なら食客の才能を活かす術や知恵を持ち合わせて有効利用できるかもしれない』
アスト「もしくは便利に使い捨て可能な駒扱いか」
リバT『まあ、どのような主人に当たるか次第ですね。それに有能な食客を使い捨てる者はまずいません。無能だから、せめて主人のためにこれぐらいの犠牲を払って忠義を示せ、とか、働かざる者、食うべからず、という世界です』
ダイアンナ「力や心意気ある者なら、逆に外道な主人を見限るケースもありそうだね」
アスト「その辺が武侠・任侠ドラマの人間関係をあれこれ想像するにも役立ちそうだな」

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