クロヤマアリやトビイロケアリやトビイロシワアリのように
日本中に分布しているシワクシケアリ。
標高の低いところから亜高山帯にかけて棲息し、垂直分布はとても広い。
すでに小型雌型(多雌)と大型雌型(単雌)の2型が知られているようだが
他にも隠蔽種のいる可能性がありそうだ。

亜高山帯では朽ちた倒木や切り株に営巣していることが多い。
こちらでは多雌のコロニーが多く、単雌のコロニーはあまりない。

このコロニーは複数の雌がいたが、腹部の大きい女王はさっさと逃げたのに
腹部の小さい雌はこのように幼虫を避難させていて
ワーカーと同じ行動をとっていた。

意図して剥がした樹皮ではなかったが、剥がれたところを見たら
こんなにも幼虫やサナギが集められていた。
凄い数だ。

飛行があった様子はないが、脱翅雌が歩いていた。
幼虫やサナギの避難をしていた雌の例もあるので
もしやワーカーみたいに採餌に出かけているのか?・・とさえ思える。
シワクシケアリの雌は、時期はずれにこうして歩いているところを
たまに見かけることがある。
今年の6月にもW1を連れて歩いていた雌を拾った。
去年は時期はずれに出歩いていた雌を拾って飼育してみたところ
ちゃんとワーカーが誕生したので
未交尾の自己棄翅雌ではなかったわけです。
本来なら女王であるはずの個体が、なぜ出歩くのかはわかりませんが
もしかしてカワラケアリのように出芽法でコロニーを拡大しているとか?
それにしてはワーカーを連れていないし、謎の行動です。
で、かねてから見つけたかったコロニーがあります。
さんざん探して、執念が実り、ついに発見しました。

オモビロクシケアリとシワクシケアリの混成コロニーです。
データベースではエゾクシケアリに一時寄生する可能性があると解説されていますが、この観察地にはエゾクシケアリは棲息しておらず、クロキクシケアリとシワクシケアリが棲息しています。
オモビロクシケアリは寄生種のようですから、そのどちらかに寄生しているのだろうと推測していましたので、ぜひ混成になっているコロニーを見て確認したかったのです。
ここではシワクシケアリに寄生しているようです。
まだこの1コロニーしか見つけていませんが
これからも機会があるごとに探してみようと思っています。

0