それにしても彼らの音楽をどう形容したらよいか。とりあえず、ダイナミックでパワフルなダンスミュージック、あるいはトライバル・ミュージックの現代的に計算された音の塊、とでも言うべきか。だが、根本はポップで活気があるのだ。そう、「活気」。
それを体現するのがブルース・スミスのドラムとスコット・ファースのベースだ。プロフェッショナルな彼らの作るリズムの土台が強靭なPILサウンドの要となり、その上にルー・エドモンズのエレクトリックギターや、各種弦楽器の操りにより、時に浮遊感を生みだしながら、時にパワフルでキャッチーなメロディを奏でる。
YouTubeの映像などを聴いたり、ライブDVDを見る限り、ときにルーの奏でる上モノのメロディが冗長に思えたりもしていたのだが、実際のライヴを聞いたらそれは全然違うと気がついた。「Death Disco(Swanlake)」で主旋律として流れる「白鳥の湖」のメロディは伸びやかだったし、同曲でのリードギターとリズムギターの目まぐるしい変転の中でも、見事にダンサンブルなサウンドを構築していた。
個人的には「Flowers Of Romance」でのスコットのウッド・ベースとルーの弦の絡みが決まると快感の極み。こういう曲では耳だけで身体を乗せると滅茶苦茶気持ちいい。どこか不思議とReggaeを思わせる。ロックから中東音楽風まで、多彩な音を聞かせるこのバンドだけど、あえて言えば、この音で踊るにはRoots Reggaeをイメージするのが一番かと思う。
ライヴの選曲はニューアルバムの曲も含め、ベストオブ・PILというべき内容。個人的にはブルースの力強いドラムスに反応してしまい、最初から乗りまくって、本編ラストのデビュー曲「Public Image」で飛び跳ねた後は、年のせいか心臓がバクバク、頭がフラフラ、冷や汗がタラタラ。ここで倒れたら前代未聞、人生最大の恥です(笑)。故にアンコールでの新作のハイライト「Out Of Woods」ではお休みモードに入ってしまった。申し訳ない!
「Rise」はPILライヴのコール・アンド・レスポンスの定番曲で、もちろんその盛り上がりようは凄い。ジョンも前面にやってきてマイクを向けて盛んにレスポンスを求める。「怒りはエネルギー」と。
Four Enclosed Walls
Albatross
Deeper Water
Memories
Reggie Song
Disappinted
Warrior
Flowers Of Romance
Death Disco(Swanlake)
This Is Not A Love Song
Public Image