毎年、雪がとける頃になると、車庫の軒下に雀が巣をかける。
今年もヒナの声が聞こえてきた。
巣立ちの練習をしている頃は、まだ毛がほやほやしていて体がまるい。
一度巣立った後も、また次のヒナがかえって、巣立っていく。
同じ親雀が使うのか、別の雀なのかはわからない。
2年まえには、庭のもみじの木にひよどりが巣を作った。
ほんの小さな木なのに、上からも下からも見えないところに
上手に作るものだなあ、と感心した。
ある日石垣に、みごとに保護色のひながしがみついていた。
まだちょっとしか飛べない。次の日はもう少し飛べるようになって
隣の庭まで遠出した。ちょうどいい足場と思ったのか
ばたばた羽ばたいて、近くにいた私の肩にとまった。
灰色の小さなやわらかい生き物。
シャツの上からしっかりつかまった爪がほんの少しだけ痛かった。
その次の日はお向かいの庭まで遠征した。
子供たちは、心配で、ほとんどずっとついて歩いていた。
そのせいかどうか、その翌日には、どこか遠くへ巣立っていってしまった。


CD9曲目の「バードテーブル」は、5弦カンテレで、ほぼ即興で弾いた。
私の庭のすずめとひよどりと、ごくたまにカワラヒワやキビタキの来るささやかなバードテーブルと、ヘルシンキのマッティさんのお庭の、可愛いカラがたくさん集まるにぎやかなバードテーブルを思い出すと、自然にとても楽しい気持ちになって弾くことができた。

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