2009/1/27

キネマの天地  映画

 WOWOWで先日、早朝やっていたのを見つけ、思わず見入ってしまい、最後まで見てしまいました。何度見ても面白い。渥美清が泣かせます。

 今回見たら、今では山田組常連の笹野高史が、ワンシーン出ていました。渥美清と落語の小話のような掛け合いを見せて笑わせます。当時舞台中心で「上海バンスキング」で忙しかった時期ではと思いますが。それこそ山田テイストにぴったりの役者。

 何度か見直していますが、いつも思うのは、セットなど美術が貧弱で、損している点です。
 戦前の映画制作風景のセットはあんなに貧弱だったのかもしれませんが、撮影所全体の作りや渥美清たちが住んでいる長屋セットがもうすこししっかりしたものだったらと悔やまれます。夜空に上がる花火のシーンも痛々しい合成ですし。それらが映画自体を安モノにしてしまうことを山田洋次は気にしなかったのでしょうか。予算やスケジュールの関係もあったのでしょうが。残念です。

 またこれは、「蒲田行進曲」の裏バージョンのような設定なのが、今回気づきました。「蒲田行進曲」は、つかこうへいの原作でしたが、蒲田=松竹なのに、なぜか内容は「東映大部屋残酷物語」のような内容。それで、山田洋次は本来の「蒲田行進曲」として「キネマの天地」を松竹・鎌田を舞台に撮った。それは、公開当時から聞いていましたが、よく見ると設定も「蒲田行進曲」から影響を受けている。
 それは、主人公・小春(有森也実)の母は旅芸人の看板女優で、やはり看板男優の子(小春)をはらんで、捨てられる。それを馬の足役だった渥美清が、それを承知で大好きだった母と結婚する。その後、母は死に、渥美清は自分の子として小春を育てる‥という設定。これはまさしく「蒲田行進曲」の銀ちゃん、小夏、ヤスの関係。その子どもの名前が「小春」なんですから、「蒲田行進曲」の「小夏」を意識しているに違いありません。それこそ「蒲田行進曲」の後日談のような設定なのです。(ヤス役の平田満も小夏役の松阪慶子も出ています)

 その上、この設定がラストこの映画に生きてくるのです。劇中劇(映画のなかで映画を撮影している設定)で、小春の役は旅芸人。地方の大ダナの若旦那と恋に落ちる。若旦那は駆け落ちしようと言うが、小春の旅芸人は、若旦那を不幸にするだけだと首を横に振って断るー。このシーンの演技に監督からダメ出しが出て、撮休になる。それで途方に暮れる小春。その小春に、父の渥美が、演技のアドバイスをしながら思わず内緒にしていた生い立ちを話してしまうのです。ここが泣けます。あくる日、小春は、自分の母を思いながら、そのシーンを演じるのです。一発でOKになります。またここの有森也実の演技も泣かせます。

 「蒲田行進曲」を下敷きに、山田洋次流の「蒲田行進曲」の答えを見た思いです。



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