2010/7/23

「告白」  映画

 先日の日曜日、映画「告白」を見てきました。原作は、湊かなえの2009年本屋大賞に輝いた小説です。娘を自分が担任をしていた中学生に殺された女性教師の復讐を描くというショッキングな作品。主演は松たか子。監督は、「嫌われ松子の一生」で独自の世界を作り上げた中島哲也なので、ちょっと期待していました。

 ☆☆☆☆。

 期待以上の、鋭い感覚(感性)と完成度の高い傑作でした。
 スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」と「シャイニング」を彷彿させます。
「時計じかけー」のアクションの華麗さと、
白を基調とした色彩の使い方で、派手さより抑えた色調が、なんとも血の濃い赤を感じさせるところは「シャイニング」を思い出します。

 演技、映像、音楽、すべてがしっかり監督が吟味して作られてるところもキューブリックを彷彿させます。

 アクション=これほど日常のものを扱いながら、華麗にハイスピードでアクションがしっかりと決まり、それ自体の映像だけでも、見ていて心地よい。子どもをプールに投げるとき、子どもが孤を描いてプールに落ちてゆく様は、ストーリーを超えて見ていて心地良かったです。 そんなシーンが随所に見られます。
 それに音楽の使い方、効果音の使い方、どれも唸ってしまいます。
 当然、子役を含め演技も、過不足ない。ラストの少年Aの叫びも素晴しい。

 近年にない映像の陶酔感のある映画です。(キューブリックみたい!)

 内容よりも、その点が私には、この映画の凄さ、と思ってしまいました。

 それで、内容−。
 私は、午前中映画を見て、午後から、原作本を読みました。
 確かにこの原作をうまく、また原作の衝撃も余すことなく映画は表現していたと思います。ストーリーは、この原作の凄さに負うところが100%だと思います(映画は大変うまくまとめていますが)。
 この現代の教育、子育てを鋭く、寓話として描ききったことに感嘆いたします。
 問題を提起した点も、その問題をストレートに伝わるのは、やはり原作だったというのが印象です。原作はラストも、突き放した感じが、凄かったです。

 (詳しく書くと、「原作」では、最終章の前の章が、少年Aの告白なのですが、真相が分かる直前で、終わるのです。それで、最終章が担任だった森口先生の告白になるのですが、徹底的に少年Aを糾弾し、少年Aの反応はまったく描写されずに終わるのです。その点が「突き放した感じ」がしました。
 「映画」は、当然映像でその両者を映し出しながら、描ききるので、少年Aの反応がそのまま映画的なインパクトとなるのです。それは、映画的だけれども、どこか、原作より救いがあるように思ったのです。その後の彼を想像できるように思えたからですが。)


 映画はあまりに映像の出来が良すぎて、メッセージ部分が華麗な映像美に心を奪われてしまい、弱くなってしまったのかなと思いました。原作のほうがストレートに伝わると思いました。

 なんて、好き勝手書きましたが、また見たい、何度か見たい映画です。

 傑作です。それも、身近な問題を扱った現代の痛い痛い、傑作です。


1



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ