コリアン・マイノリティ研究会
第170回月例研究会 ☯卒業論文報告☯
「梁民基(ヤンミンギ)のマダン劇活動と「自らの文化」創造の過程
―マダン劇との出会いから東九条マダンまで―」
西川紗生さん(同志社大学文学部文化史学科4回生)
1970年代の韓国では軍事独裁政権への抵抗運動が盛んに行われており、その中で、伝統民衆演劇である仮面劇を基にした「マダン劇」と呼ばれる民衆演劇が生まれた。そのマダン劇を同時期的に日本に紹介したのが、梁民基という人物であった。彼の継続的な活動は、やがて東九条の民族まつり「東九条マダン」につながる。彼のマダン劇活動がつないだ人々、そしてそこで創られたものの意義は大きく、在日コリアンの文化を考える上で非常に重要な役割を果たす。しかしこれまで、彼とその周囲の人々によるマダン劇活動は当事者たち以外の視点で客観的にまとめられることはほとんどなかった。
国際化・多様化の進む今、東九条マダンが多文化共生のまつりとして注目されているが、私たちはそこから何を学べるのか、その位置づけはどうなっていくのか。梁民基のマダン劇活動の延長にある東九条マダンにも言及しながら、日本におけるマダン劇について考察した。
「大阪の公立学校における民族学級の役割と課題
―A小学校「Tの会」を事例に―」
井澤くるみさん(立命館大学文学部現代東アジア言語文化専攻4回生)
民族学級とは大阪の公立の小・中学校に設置されている在日コリアンの民族教育の場である。私の出身校である大阪市立A小学校には「Tの会」という民族学級があった。私が小学6年生のとき、幼馴染が民族学級に入級し、自分が在日コリアンであるということを告白してきたことが衝撃的であった。この出来事がきっかけで「Tの会」というフレーズが今でも深く記憶に残っており、民族学級を調べることとなった。
本論文では、第1章で民族学級の概要とどのように誕生し、展開されてきたのか、歴史変遷を整理していく。第2章では、A小学校「Tの会」に焦点をおき、そのあゆみや取り組み、入級児童の声などを取り上げ、民族学級の実態を見ていく。そして第3章では、「Tの会」がA小学校の中でどのような役割を果たして、また、課題点は何なのか。それらを明らかにしたうえで、民族学級の課題や今後の展望についても検討していく。
日 時:2018年2月23日(金)19:00〜21:00
場 所:猪飼野セッパラム文庫(大阪市天王寺区細工谷2-14-8)
http://sepparam-bunko.jimdo.com/
参加費:800円・大学生400円(会員200円引き)・高校生以下無料 どなたでも大歓迎!
主 催:コリアン・マイノリティ研究会
http://white.ap.teacup.com/korminor/ 090-9882-1663
☯「映像で見る朝鮮韓国在日」第28回上映会
資料上映 NHK-ETV特集「コリアンの新しい風が吹く」(2000年2月放映、山口県下関市、レポーター:若一光司さん)
日時:2月26日(月)19:00〜21:00 場所:猪飼野セッパラム文庫 参加無料(カンパお願い)・定員10名

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