野宿

2014/8/13 | 投稿者: クロちゃん

これは、あるバカな男の悲惨なひと夏の経験です。起こるべくして起きたのかもしれません。それほどこの男はバカでした。

「もあ〜。」自分の横を何かが通り過ぎた気配を感じて目を覚ました。男は石のように動かなかった。
『ケモノか…。』ふと頭の中に過ぎったが、不思議に恐怖心は感じなかった。いや、すでに恐怖心を感じるような余裕さえ失っていた。
目を開けても、目を閉じているのと同じ真っ暗闇の中にいた。

『今、何、時、だ…。』腕時計の点灯のスィッチを押した。
『むむ、草木も眠る丑三つ時か…。』

「キューウ、キューウ」近くで鹿の鳴く声がうるさかった。
次第に頭が冴えて行くのが分かった。寝ていることは叶わず、起きるしかない状況になっていた。

『どうしてこんなことになったのだろう。』お湯を沸かしながらこれまでのことを思い出した。
そうして、思ったとおり足が動くことが無性にうれしくなっていた。

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朝歩き始めたのは5時30分だった。
疲労困憊、両足が痙攣して林道わきの草むらに倒れこんだのが午後7時だった。
遠くに雷の音、ポツポツと暗雲から仕打ちの雨も降って来た。
男の周りにはブーンブーンと飛び回る無数のメジロアブが容赦なく襲って来た。
いったい幾つ刺されて、幾つ叩き落としただろう。普通の人ならパニックになるような状態の中を長時間彷徨った。

ザックから銀マットとフリース、雨合羽を出した。
とにかく肌の露出を防ぎ、体力回復しかない。虫攻撃に防御だ。
動くたびに両足に激痛が走った。食欲もない。そういえば、長い時間トイレしていないのに尿意ももよおさなかった。

この日、男は帝釈山の登山口から田代山を目指した。
どうして、素直に戻らなかったのだろう。
これって、好奇心?冒険の心?
地図も持たない男は思い込みで田代山から猿倉登山口に下りて行った。
そうして、何の情報もないまま林道歩きで帝釈山の登山口である馬坂峠登山口に戻ろうとしたのであった。
知っている人が聞いたら、「あんたバカか。」と思うだろう。知らない人も呆れる無謀な行動だったかもしれない。

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しかし、バカな男は歩いた。延々と続く林道を4時間以上歩いた。
そうして、林道の分岐が現れて行く手を失った。
たまたま通りかかった一台の車を止めて帝釈山の登山口を尋ねた。
「まだまだ遠い。戻ったほうが速いよ。」で、自分のバカさ加減に目覚めたのだった。

うーん、林道歩き4時間、田代山まで2時間、帝釈山に1時間、登山口まで40分、計7時間40分か。
今時計は午後2時を過ぎたところだ。途中でヘッドライトの夜行行軍になるな。
咄嗟に頭の中で計算した。そうして、急ぎ足で今来た林道を駆け戻ることにした。

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しかし…。
頭で計算したこととは違う計算違いがあった。
それは、足が悲鳴を上げていたのだ。
すでに水がなくなっていた。食料も少ない。いや食欲はなくなっていた。
汗かきの男は水分不足になると足が攣ることを知っていたが、この時そのことを思い出す余裕はなかった。
勢いよく歩くと、その分汗をかく。そうして恐れていたことが現実になった。

突然両足が攣ったのだ。
林道脇に倒れこんだ。しばらく休もう。
足を動かすと激痛が走った。
しかも、休むことを許さないかのようにメジロアブが必要に襲ってくる。そしてなんと、ブヨまで現れたではないか。

休むことも許されないのか。
疲労困憊した身体に鞭打つかのように再び歩き始めた。

とにかく水を探そう。確か来る途中に水が出ている場所があった筈だ。
このあと、10分歩いて5分休むペースで歩みを進めた。

そうして、ようやく水場をみつけた。
ペットボトルに水を汲み、一気に飲み干した。
ところが、呑んだ水を吐いてしまった。すでに水まで受け付けない状態になっているのか。
そうだ。こんな時はお湯を沸かしてゆっくりとコーヒーを飲もう。

すでにこの時、雨降る中で野宿になることを悟っていたのだった。
動くたびに両足に激痛が走った。食欲もない。
コーヒーを飲み終えると仰向けになった。すでに周りは暗くなっていた。
『帰る道は分かっている。あとは足が動くまで回復を待つだけだ。』
いつしか雨は止んでいたが、真っ暗闇の中で惨めな男は静かに寝入っていた。

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2014/8/19  6:24

投稿者:クロちゃん

みなさーん、おはようございます。♪
コメントありがとうございます。(^^)/


http://white.ap.teacup.com/kum_kurosawa/

2014/8/18  13:34

投稿者:keykun

こんにちは

オイラが一緒でなくてよかったです。
多分パニックになっていたでしょう。
無事帰還できてよかった。
単独登山・・・気を付けてくださいね。

http://white.ap.teacup.com/key0228/

2014/8/18  11:47

投稿者:目黒駅は品川区

大変でしたね。お疲れ様でした〜。奥鬼怒とか会津で脇道入るのはヤバいでしょう〜!田代山とか帝釈山は山頂周辺にピンポイントで道があるだけで、周りジャングルじゃないですか〜!

http://blog.emachi.co.jp/jdt01101/

2014/8/18  6:49

投稿者:クロちゃん

みなさーん、おはようございます。♪
コメントありがとうございます。(^^)/


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2014/8/16  9:20

投稿者:karin

クロちゃんさん おはようございます

新潟から帰ってきてすぐにこちらを訪問!
あまりのことに絶句してしまいました。

こうしてブログを書いていらっしゃるから、
ご無事だったのだと気付いてようやく一息つきました。

本当に大変な事態でしたね。その中でもパニック
にならずにこうして生還されたのですから、やはり
クロちゃんさんだ!と思いました。

私ももっと強くなって悲しみや痛みや辛さや孤独に
耐えるようがんばろうと思いました。

クロちゃんさんに後遺症が残っていませんように!



http://wave.ap.teacup.com/karin02/

2014/8/15  22:22

投稿者:安曇野

こんばんは。

大変な目に遭いましたね。
何より無事で良かったです。

http://azumino529.blog28.fc2.com/

2014/8/15  11:22

投稿者:マチコ

とんだ 経験しちゃいましたね。
でも ホント 無事に帰れて良かったです(^^♪
さぞかし 一人で不安の思いをしたことでしょう。

山は 何が起こるかわからいから
やはり 装備は万全にしなくてはですね。
私もツエルト 常に装備してますが
暗くなったら 一人で山に居られないと思います。
絶対 パニックに陥ります。
冷静な判断が出来たから クロちゃん
ご無事だったんですね 良かった〜(^^♪


2014/8/14  10:59

投稿者:笑子

クロちゃんさん、おはようごさいます

ひゃ〜〜〜〜!!大変ですね〜
切羽つまるお話です!
テレビドラマ化できそうな困難また困難です!
ご無事で本当に良かったです〜

昨日はロープウエイで天神平に行ってから少し歩きました
あら、この道はもしやクロちゃんのブログで見た道か!!と思うような
石ころだらけのアドベンチャーな道を探検気分でほんの少し山旅気分を
味わってきましたです
山の上は涼しかったです〜〜下界は蒸し暑いですね(汗)

http://syouko.3rin.net/

2014/8/14  6:21

投稿者:クロちゃん

歩くの叶わずです。
◇恵那爺さん、おはようございます。♪

こちらの林道は山から遠く離れていました。
林道は要注意です。(^^)/


http://white.ap.teacup.com/kum_kurosawa/

2014/8/14  6:19

投稿者:クロちゃん

シェラフカバーですね。(=^0^=)/
◇びーちゃん、おはようございます。♪

そういえば私も昔買ったゴアのシェラフカバーを持っていました。
さっそく携行品に加えましょう。
ツェルトも物置から探しときます。
情報ありがとうございます。(^^)/


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