馬酔木

2007/5/29 | 投稿者: クロちゃん

「こりゃー、毒だから触るんじゃねぇよ。」

子供の頃、近くの山で友人の兄が言った。
「さわるな!」と言われるとつい触りたくなる。
友人と友人の兄の目を盗んで触ってみた。

「なーにが毒だ。なんともねぇじゃんけ。」
少年は心の中で自慢そうにつぶやいた。
「臆病もんめ、おらぁ勇気があるんだい。」
少年は鼻高々に心の中で笑った。
そうして、馬酔木の葉をちぎってパラパラと巻いた。

その日、家に帰ると少年の母親が言った。
「おめぇ、山に行ってきたんか?青い葉っぱの木は毒があるから触るんじゃねぇぞ。」
「うん。」
少年は急に恐ろしくなった。
友人の兄に言われたのは平気だったが、母親に言われたのは気になった。
(もう、触っちゃった。おらぁ、死んじまうんかな…。)
そう思うと心細くなって、手をゴシゴシ洗った。恐くて、恐くて布団に入った。
その晩は、なかなか寝付けなかった。

馬酔木(アセビ)は“馬が酔う木”と書く。
葉は有毒で、馬などがこれを食べると酔ったようになって倒れることから“馬酔木”と書く。
花ことばは「なんじのみを愛す」

少年はその日以来、馬酔木の木を見ると避けるようになった。春、白い花が垂れ下がっても綺麗と思わない。不気味な花に見えた。

そうして、時が過ぎて少年は世間並みの中高年になった。
今も“馬酔木”の木を見ると近寄らない。

従って、ここに掲載する画像もない……。
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