渓開きの儀式

2019/1/15 | 投稿者: クロちゃん

2006年3月4日 奥秩父大洞川水系

 秩父地方のこの冬は、記録的な雪の少なさであった。例年なら雪化粧した奥秩父連山の容姿も蒼黒くすっぴんの顔だ。渓の精気が心配される。

午前6時車中の人となる。気温マイナス5℃であった。久しぶりの氷点下の気温で身が引き締まる。(体型は引き締まっていないが、気持ちが引き締まっていた。)
大滝地区に入ると黒く濡れた道路は、凍っているのか凍っていないのか定かでないが、気弱な私は慎重運転となる。私は酒を飲むと気が強くなるようだが、普段は気弱な人間なのである。

昨日降ったのだろうか、大滝地区の山は雪化粧していて綺麗だ。渓流釣りシーズン解禁後初の土曜日とあって、渓流はさぞ賑わっていることだろう。多くの釣り人は放流場所に殺到しいるに違いない。渓に魅せられて中途半端な釣り人の私は、そんな放流場所へは行かないのである。あくまで自然の野生と遊ぶことが心情で、酒を飲み渓遊びを信条としている。
そう言うと何とも格好いいが、釣り人が殺到する場を嫌い静かな環境を好む変人なのである。
食いきれないほどの数を釣っても、無用な殺生となるし、何より無用なトラブルを避けたい。渓で先行争いはしたくない。優先権を主張する釣り人がいれば快くお譲りします。

さて、今回はそんな考えに共感するキイくんが同行だ。解禁祝いを計画した今回の祝い酒は、ビール1リットル、焼酎0.7リットル、日本酒0.5リットルにコンビ二で加えたウイスキー白角水割り0.5リットルを追加した。食料はキムチ鍋材料一式にうどん玉2個、天ぷら具材の竹輪にふきのとうにコンビ二おにぎりだ。当然、ザックは相当の重量となりパンパンだ。

道路は奥へ行くほど雪が多くなり、やがて雪道となった。
「スタッドレスタイヤなんだろう。」
「いいえ、ノーマルです。」
やがて、車中は沈黙の時間となった。

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目的の入渓地点に到着。放流のないこの河川には当然のように先行者の車はなく、この場所は今シーズン初めての入渓者となるようだ。
「アイゼン持ってます?」
「えー!そんな話聞いてないよ。クロちゃん、持ってるの?」
「私はいつも持っています。」
3分間、沈黙の時間が経過した。

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うっすら雪の積もった樹林帯を下降する。急斜面のほぼ直線的な道で滑りやすい。慎重に歩くが、キイくんはスッテンスッテン尻もちをつく。
「7回転んだ……。」
渓に降り立ったとき、キイくんの最初の一言である。良く転んだものだが、その数を数えていたとはさすがである!?

清冽な流れと雪化粧した渓のコンストラストが素晴らしい。午前8時、記念の第一投。

岩肌にも雪があり、慎重に遡行する。思ったほど寒くなく快適だ。魚信は予想通りほとんどないが、しばしの渓の感触を満喫する。

高巻しないと通過できない地点で納竿。昔の自分達であったら、強引に高巻いて先に進んだろうが、今はそんな勇気もないし、青くない。大人の選択は戻って宴会することだ。
雪の残る斜面は危険である。

午前11時。入渓地点の降り立った場所まで戻る。さあ、宴会だ。
宴会に先立ち、キイくんが清めの酒を流れに注ぐ儀式を敢行。
渓の安全祈願に手を合わせた。

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陽だまりの宴会場所は暖かく快適であった。キムチ鍋を仕込み、唯一の釣果である20cm程のサビの残ったポッチャリ山女を天ぷら用にさばく。
「カンパーイ!」と始まり、飲んで食って至福のひと時を過ごした。

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過去の記録ですが、このブログにできるだけホームページ「山遊びの貯金箱」の記事を移行して残そう作戦敢行中




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タグ: 山釣り 奥秩父 岩魚



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