見た日/12月某日 ★★★

 この題材で、こういう映画を作ったところに、今の韓国映画界の底力と勢いを感じる。この作品は日韓合作ということだが、スタッフはほとんどが韓国側。今年は「単騎、千里を走る」「太陽」「硫黄島からの手紙」と、日本の題材、俳優を活用した秀作が続いたが、この映画も同様だと思う。

 藤竜也や萩原聖人、中谷美紀ら日本人俳優たちの佇まいが自然で、彼らの良さを引き出している。武藤敬司や今は亡き橋本真也らの現役プロレスラー、プロレス・格闘技から俳優になった船木誠勝らも大熱演で、プロレスシーンは一時、すべての生活をプロレスに捧げていたことがある僕が見てもリアルで、迫力もあった。

 まずその時代感にビックリ。主演のソル・ギョングは実際の力道山よりスマートで男前だが、プロレス会場の雰囲気などは正に昭和のあの時代で、この点ではCGで作り込みがあざとかった「ALWAYS〜三丁目の夕日」よりは自然だったかもしれない。

 テーマは重い。戦後日本復活の象徴でもあり、アメリカ人レスラーをやっつけることで「復興した日本人の代表」だった力道山が実は朝鮮人であり、彼自身、朝鮮人でもなく、日本人でもなく、死ぬまで孤独で、最強のヒーロー「力道山」であろうとし、生きがいを求めたという、この映画で語られる人生は実に切なく、胸に響く。

 ソル・ギョングは涙ぐましいほどの日本語の特訓とプロレスの練習をしたことが画面から十分伝わってくるが、日本語の発音もクセはあるものの、物語の味にもなっていて好感が持てた。圧巻は力道山&木村(映画では井村)対シャープ兄弟の死闘の再現。もう一度プロレスを見に行ってみようかな、と思わせてくれた。

 それにしても、この映画でいい動きを見せてくれた橋本真也選手がもうこの世にいないことが残念でならない。
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