硫黄島からの手紙  新作レビュー

見た日/12月某日 ★★★

  戦争に敵も味方もなく、殺し合いの正当化は時に人を残虐にし、時に人を恐怖に陥れ、時に人を英雄にする。

 そんなクリント・イーストウッドの静かではあるが力強い主張が、硫黄島の一作目「父親たちの星条旗」に続く、この「硫黄島からの手紙」でより鮮明となった。史実でもあるひとつの戦場での戦いを、戦った両国それぞれの視点で描くというのは画期的で、2作合わせて映画史に残る作品になったと思う。

 今までのハリウッド映画は「英語でない映画」を敬遠する嫌いがあり、例えばロシア人であろうが日本人であろうが、必ず英語を喋っていたのだが、この作品の主要キャストは日本の有名俳優で、きちんとした日本語でセリフを話していたのも、実に画期的だった。

 渡辺謙扮する栗林中将が主役ではあるが、嵐の二宮君扮する若い兵の視点から、さまざまな「戦争の現実」がリアルに描かれる。最近のイーストウッド作品で多かった時勢のカットバックもほとんどなく、栗林の硫黄島赴任から陥落までをじっくり描く。

 ストレートな映画ではあったが、個人的には主役級以外の俳優の仕草や面構えなど、些細な不自然さに目が行ったこともあって、現場の戦争の悲劇と、銃後に英雄扱いされた兵士たちの悲劇をカットバックして鮮烈だった「父親たちの星条旗」の方が正直、感銘を受けた。
日本での世評は今作の方が高いようだが、まあ、これは個人的な感性の問題だろうし、個人的に「父親」の脚本家・ポール・ハギス(今作では脚色協力・原案らしい)の手法が好き、ということもあるだろう。

★近くイラスト添付します!
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2006/12/27  10:11

投稿者:おたっきー

享年41歳さま、コメントありがとうございます!

享年41歳さまの言われる通りかもしれません。僕もレビューでゴタクを述べましたが、こういう映画の前に立つと、理屈は不要ですよね。

アメリカ人とか日本人とかそんなことは関係なく、ただただ人間そのものを見つめるイーストウッドの眼差しに敬服です。

2006/12/22  2:17

投稿者:亨年41歳

何があの大戦の真理か解りませんが、あのとき硫黄島には確実に我々と同じ日本人が居たのです。皆故郷に生きて帰りたかったと思います。何故死ななければ、とか死ななくても良かったのではなないか?とかはもう歴史の中で消化されているのです。映画の真理描写とか、作品としては、とかはもういいのではないのでしょうか?今の日本人が作れない映画をアメリカ人のイースドウッドが造ってくれた事を評価したい。今までこんな事がハリウッドであったかな?と思います。彼ら製作者の熱意に日本人として感謝する映画でした。

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