ユナイテッド93  DVD・ビデオレビュー

見た日/12月某日 ★★★★

 公開時、地元の映画館ではかかってなくて、ようやくDVDで鑑賞できた。

 「ホテル・ルワンダ」とは次元が違うかもしれないが、この映画も、作り手が「伝える」という意識を持って作った作品だろう。

 娯楽性は一切なく(同じ事件を扱った「ワールド・トレードセンター」は娯楽映画的な観点はまだあったように思う)、ただひたすらに、9・11のテロ発生時、ハイジャックされた飛行機のうち、唯一目的地に到着せずに墜落したユナイテッド93の機内で起こったことを推論し、リアルに再現しようと試みた映画である。

 管制塔のシーンなどは本人が演じているというし、事件発生時、携帯電話で乗客たちと直接話したという遺族へのきめ細やかな取材から物語を起こし、俳優にも乗客たちをリサーチさせてから撮影したというが、そのリアルさは確かに徹底している。

 驚いたのは、ユナイテッド93の機内で事件が発生するのは映画の中盤を過ぎたあたりで、それまでは全米各地でハイジャックが頻発し、軍が混乱したり、各地の管制塔が騒然とする様子をかなり克明に描いている点。ここはかなりリアルで、こちらは事件の実際を知っているはずなのに、どうなるのだろう?と手に汗を握ってしまう。

 機内で事件が発生してからは、乗客が犯人たちを捕らえ、何とか危機を回避しようとする姿が描かれる。結末はもうわかっているので切ないが、勇気を持って立ち向かう乗客たちの描写はある面想像の部分でもあるし、作り手の良心も感じた。

 「5年で映画化は早い」という声もあったようだが、だからこそ事件を美化せず、リアルにこだわったこの映画が作られたのだろう。

 映画館では鑑賞できず残念だったが、DVDはレンタル版にも特典映像がついていて、遺族本人たちへのインタビューや役者と遺族との対面、試写を見た遺族の感想などがあるのだが、その中である遺族に「ビン・ラディンを殺したいか」という質問をしたところ「そう思わない。そう思えば彼らと一緒になってしまう」と答えていたのが実に印象的だった。

 憎しみは憎しみしか生まない。9・11があったからこそ、今のイラクの悲劇もある。何が正しく、何がいけなかったのか。そもそもなぜ、9・11の悲劇は起こったのか。この映画を見て、いろいろなことを考えさせられた。
 
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