早咲きの花  新作レビュー

見た日/4月某日 ★★★★

 この監督さんの前作「ほたるの星」は、公開時にキャンペーンをお手伝いしたので、思い出深い作品だ。DVDのロケ地マップのデザインや、特典映像のキャストインタビューのコーディネーターもやらせていただいた。主人公のモデルになった小学校の先生も、実は友人であり、プロデューサーさんとは共通の知人もあって、意外な縁の深さに驚いた。

 「ほたるの星」は師弟の絆や自然への畏敬など、人生にとって大切なテーマが、子どもたちの生き生きとした演技と山口県の自然描写で描かれている。それまで大手配給会社による依頼でアイドル映画などを手がけてきた菅原監督にとっても、「自分が撮りたい映画を撮る」第一歩でもあったようで、思いの深い作品になったようだ。

 そういう意味では、この映画は、内容は「ほたるの星」とは全く違うが、作品づくりの経緯を見ていると、「ほたる・・・」を発展させた、パート2的な作品と言っていいだろう。

 聞けば原作の作家、宗田理氏が「ほたるの星」で、映画で山口県が活性化したのを見て、映画化を思い立ち、三冊の小説を元に、菅原監督が映画化したらしい。

 失明の宣告を受けたアメリカ在住の女性カメラマンが、故郷の愛知県豊橋市を訪れる。そこで彼女は、「ええじゃないか」踊り復活に賭ける高校生たちと出会う。彼女の胸に去来するのは、戦時中、貧しくても明るくたくましく生きていた、兄ら当時の子どもたちの姿だった・・・。

 「ぼくらの七日間戦争」以来、少年少女の描写では定評がある菅原監督だが、この映画でも戦時中に子どもたちの描写が生き生きとしていて素晴らしい。空襲で大勢の子どもたちが亡くなった悲劇が後半のクライマックスだが、物語をその悲劇に特化せず、失明の失意から立ち直るヒロインと、自分を失った高校生がイベントによって自分を見つけていく様を重ねた構図が、物語を重層的にしている。

 悲しいだけでなく、明日への希望につなげるところに、作り手の心意気と優しさを感じる。

 
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