百恵ちゃん映画を語る!  映画つれづれ

佐々部監督が、過去の名作を紹介するサイトのコラムで、山口百恵さん主演の「潮騒」が紹介されていた。

http://www.navitown.com/weekly/cinema/dvd/0623.html

それによると、監督は14作に及ぶ百恵ちゃんの全映画作品のビデオセットを、当時高額にも関わらず購入されたそうだ。それもベータで! 見ることができないものの、今も本棚に並べていらっしゃるらしい。監督がVHSの開発秘話を映画化した「陽はまた昇る」を監督したことを思うと、なんだか微笑ましい。

山口百恵さんというと、もちろん歌手として日本を代表するアイドル歌手だったわけだが、その存在は、テレビドラマだけでなく、銀幕でも光り輝いていた。いまどき、こんなスターはいない訳で、その存在性は、同じようにテレビ、映画でも活躍しながら、ある意味「現代」を反映し続けている松田聖子とはちょっと違う。

ある方は「山口百恵は菩薩である」とのたもうたが、確かに、その「母性」と「色気」と「美しさ」に加え、歌手としての歌唱力、良質な楽曲、天性の演技感、家が貧乏だった云々の伝説性がプラスして、まさに山口百恵独自の異彩な魅力を放っていた。それは、それ以前の吉永小百合さんが持つ存在性、魅力とも似てはいたが違っていた。

テレビドラマでは大映ドラマシリーズの魅力爆発の「赤い」シリーズが大人気だったが、映画ではテレビと同じ三浦友和を相手役に迎えながら、日本の映画人がきちっと取り組んだ文芸大作が多く、見応えのある作品が多かった。

僕は小学5年のとき、山口市の映画館、金竜館(今はもうない)で百恵ちゃん(山口をつけると、さんがしっくりくるが、下の名前だけのときはちゃんがピッタリくる)の映画デビュー作「伊豆の踊り子」を見ている。このときはもう1人で映画館に通っていて、この「伊豆の踊り子」はラストの船が確かフェリーで、小学生のくせに「この時代にこんな船があったのか!?」と興ざめしたことを覚えている。(ませたガキだ)

「潮騒」も金竜館で見ているが、正直、こちらはあまり覚えていない。あとで堀ちえみでリメイクされたバージョンがあったせいか、映画的記憶がゴチャマゼになっている。でも、小屋の中のシーンはドキドキした記憶がある。

そうそう、百恵ちゃんでドキドキと言えば、「ふりむけば愛」で百恵ちゃんの初のベッドシーンがある!と雑誌で読んで、中学生だった僕は期待に制服のズボンをふくらませて金竜館に張り切って出かけたが、期待のシーンはシロシロのボケボケで、僕のズボンはボキボキどころか、シロシロのスボスボで、がっかりしたことがある。

その監督さんは、後に映像の魔術師と呼ばれた大林宣彦監督だった。正直、ベッドシーンに魔術などかけてほしくない!その監督名が、怒りから憧憬に変わるまでは、「転校生」まで数年が必要だった・・・。そう言えば「夜のヒットスタジオ」で百恵ちゃんが最後の出演をしたとき、大林監督が花束を持ってかけつけたことがあって、大げさに抱きしめた様子が今でも印象に残っている。「この人、ヒゲヅラでやることもアメリカ人みたいだなあ」と思った覚えがある。

で、僕のベスト・オブ・百恵ちゃん映画は、吉永小百合主演の名作をリメイクした「泥だらけの純情」とサスペンス映画「霧の旗」である。「泥だらけの純情」は、チンピラと令嬢の許されざる愛を描いた作品で、都会の雑踏に2人のモノローグが被るラストシーンは印象に残る。吉永版の雪のシーンとまた対照的だが、吉永版とは違う意味で、これはこれでとっても楽しめた。

ちなみに吉永版は、中学生か高校生のとき、当時TYS(テレビ山口)で平日の昼間に古い日活の映画をよく放送していてそれで見たが、これは衝撃的な傑作だった。雪で戯れる2人が、ふっと雪中の睡眠薬を見て、そこから次のシーンに切り替わるカットは実に鮮烈で、中平康監督の名前も、これで僕の映画的記憶に深く刻まれた。劇場で見てないのが残念だ。

「霧の旗」は松本清張原作のサスペンスで、無実の罪で兄を亡くした妹が、文字通り体を張って悪徳弁護士に挑む話。百恵ちゃんが大人の女優への脱皮を図った作品で、物語も立派なサスペンス作品で面白かった。確かこれは「伊豆の踊り子」「潮騒」なとせ一連の百恵ちゃん映画を手がけてきた西河克己監督の最後の百恵ちゃん映画のはずだ。今はドラマも映画も出ないのになぜか日本アカデミー賞の司会をしている関口宏が出ていて懐かしい。

このほかにも、引退作で映像が美しかった「古都」やラストは痛くて見ていられなかった「春琴抄」など、いくつも印象に残った作品が多い。歌手でテレビでも活躍しながら、これだけ堂々と「日本映画」の世界でも、スターとして輝いていた女優さんははもう出ないだろう。

そう言えば、百恵ちゃん映画はみんな東宝配給だが、今の東宝をしょって立っている長澤まさみちゃんが、初主演作「ロボコン」で、劇中、百恵ちゃんの「夢先案内人」を大声で歌うシーンがある。これは古厩智之監督に実際に聞いた話だが、あれは監督の指示ではなく、まさみちゃん自身が好きな歌なのでそれにしたそうだ。かつての東宝を支えたスターの曲を、今の東宝のスター女優が好きで歌っていて、東宝映画の中で披露している、という事実は興味深い。
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2011/3/22  21:16

投稿者:マニィ

A−chanさま、ありがとうございます!

コメントを頂いてから、3カ月も経っての返信、本当にすみません。きちんと管理画面を見ていなかったようで、気づきませんでした。

本当に申し訳ございません!!

確かに、百恵さんには、現在のアイドルとは一線を画した風格がありました。「山口百恵は菩薩である」と言われた方がいましたが、正に時代が生んだシンボルだったと僕も思います。

「春琴抄」原作は未読ですが、そうなんですね!原作と映画の違いをご指摘で初めて知りました。

僕は当時小学生でしたが、ラストシーンは恐くて切なくて、スクリーンを正視できなかった思い出があります。

少年の心には、痛い、いつまでも心に残る作品でした。

2010/12/15  2:46

投稿者:A-chan

初めまして。
山口百恵さんという人は、アイドル時代は勿論の事、引退した後も後世に名を残し、新たなファンを増やしているのですから、その功績は偉大なもの。一般のアイドルとは違った「人格者」の風格がありました。
母が彼女のファンで、幼い頃よく一緒に映画館へ連れられていきました。その数々の映画の中で印象に残っているものの1つが「春琴抄」。
谷崎潤一郎原作の古典文学という事で、原作を読んでみたのですが、春琴と佐助がどのような人物だったかが淡々と語られているだけなので、これをよくあれだけの濃厚なラブストーリーに演出したものだと、思わず唸ってしまいます(ウーン!)。
春琴の顔に熱湯を掛けて大火傷を負わせた犯人は、映画では春琴に袖にされた弟子らしい事にされてましたが、ただこ奴が一番クサいというだけで、実際には容疑者は他にも大勢いたようですね。何しろ、美貌・才能・高ビーな態度と、春琴は多くの人々に妬みや恨みを買っていたらしいですから、彼女の周りはクサい奴でいっぱいという訳です。
そんな毒の強い性格の春琴に献身的、それこそ盲目的に尽くす佐助って、典型的な「蓼食う虫型」なんでしょうかしら?(例:オバQ&U子)
それでも、百恵ちゃんの演じた春琴にはまだ可愛いところがありましたね。普段は佐助に高ビーな態度を取っていても、何か自分に危険が及ぶと「タスケ!サスケテー!!」の人でしたから(笑)。

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