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見た日/6月某日 ★★★

頭がもげ、血しぶき吹きまくりだが、凄惨なリアルさはない。この映画はスパルタの史実を描くことより、独特な世界観を持つフランク・ミラーのグラフィック小説を忠実に映像化することにすべての神経と技術と力を注いでいるからだ。

活劇シーンで多用される、スローモーションとストップモーション。これにCGを駆使した独特な映像が被さる。兵士たち、背景、全てがCGで映像加工されている。では凄惨なリアルさがないのなら、この映画のシーンは血が通ってない映像なのか?と問われればそれはNO。映像美で彩られてはいるものの、きちんと兵士たちの苦しみは伝わってくる。

これは脚本の勝利だろう。物語はシンプルだが、戦いに至るまでの筋立てや戦いに入ってからの物語展開は鮮やか。映像美だけでなく、それに伴うお話づくりがきちんと練られている。ビジュアルデザインが完璧でも、多分、キャラクターや物語をきちんと語ってないと映画は破綻する。(いい例が日本映画「キャシャーン」かな)

キネ旬の映画評には黒澤作品との共通点が指摘されていたが、確かに黒澤映画の影響は見て取れた。この映画、CG処理を施すため、スタジオでの撮影が主で、他の史劇大作に比べると低予算だったらしいが、映画ならではの迫力は十分あったと思う。

大勢の兵士たちを同じフレーム内に入れること(「○き狼」かよ!)が迫力ある映像になる、と信じて疑わない人たちがいたが、実は引きの映像は、いくら巨大な集団を写しても、それだけでは迫力が乏しい。その反面、この映画は工夫しまくりで、恐らくスタジオ撮りにしたのにも関わらず、スケール感もある。

この映画は、もしかしたら、お金と手間がかかった「紙芝居」なのかもしれない。「紙芝居」だからこそ、物語が大切なのだ。お話が理解できず、絵ばかりを見せられてはたまらない。そういう意味ではこの映画、よくできている。
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