椿山課長の七日間  DVD・ビデオレビュー

見た日/7月某日 ★★★

肩の凝らない作品が見たい、と思ってレンタル。

劇場公開時に見逃し、正直、あまり期待せずに見たが、これがどうしてどうして、なかなか面白くて、一気に最後まで見た。

死者が現代にひととき蘇り、自分がやり残したことを片付ける。今までもあったシチュエーションである。この手のもので一番の傑作は、やはりウォーレン・ビーティー(当時はビューティー)の「天国から来たチャンピオン」だろう。

この「天チャン」は本当に傑作中の傑作。フットボールのスター選手が事故で亡くなるが、間違って亡くなったため、あまり評判がよろしくない老人の身体を借りて現代に帰ってくる。そこで起こる恋や試合などの騒動を描くのだが、面白いのは蘇った姿も若きウォーレン・ビーティーが演じていて、僕たち観客の目に映る主人公は若いのだが、劇中の登場人物たちは彼は老人にしか見えない(はず)訳で、その見せ方が面白かった。

つまりは僕たち観客は「天国」の目を持っているという訳で、虚構なはずのスクリーンの中こそが、真実が見えない「現実」という訳だ。この仕掛けで、僕たち観客は心地よく映画のトリックに騙されながら、すばらしいラストを迎えることができる。その余韻が残るラストシーンはその後のさまざまな映画に影響を与えたが、今見ても本当に感動する。

僕は佐々部監督の「四日間の奇蹟」を見たとき、この「天チャン」を思い出した。まったく違う話なのだが、まったく違う人間が入れ替わるシーンを美しい風景の中でリアルに撮っている様や、ラストの余韻が、僕にとってはこの「天チャン」を思い出させてくれたのだ。ちなみに佐々部監督の作品群の中でも「四日間〜」はもっと高く評価されてよいと思う。

ちょっと脱線してしまった。これ、「椿山課長・・・」のレビューだった!さてさて、よーく見れば、原作は浅田次郎だ。どうりで、物語は面白いはずで、よーく計算されていて、最後まで意外な展開も見せて引き付けてくれる。

ただ、せっかく西田敏行という稀代の演技派であり、最高のエンターテイナーでもある俳優さんをキャスティングしながら、西田氏が絶世の美女の伊東美咲と入れ替わる、という面白いアイデアを、十分生かしきれてないのがちょっと残念な作りになっている。

伊東美咲の演技力云々の前に、美女に西田敏行の魂が宿っているのだから、もっと面白いシチュエーションが演出で表現できたと思うのだが、この映画は原作で描かれた物語を消化することに一生懸命で、その辺りがはしょられた、という印象を受けた。唯一、エレベーター内での綿引勝彦と西田敏行のシーンのみに、その面白さが味わえるが、もっとその設定を生かしてほしかった。

ところで、西田敏行の妻役で、かつて角川映画3人娘の1人でありながら、いまいち作品には恵まれなかった(でも斎藤光正監督の「伊賀忍法帳」は傑作!)渡辺典子が出ているのにビックリ。僕は当時、彼女が大好きだったので、テレビドラマなどでは時々見かけていたが、彼女がスクリーンに元気な姿で復帰しているのがうれしかった。
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