伝染歌  新作レビュー

見た日/9月某日 ★★★

最近のJホラーの系譜に入る作品なのだろうが、ベテランの原田眞人監督作品らしく、社会派の香りがしつつも、実験的な映像を織り込んだ展開は単純に「面白い」と思った。が、映画全体に漂う「変さ」があって、実はそこがこの映画の魅力になっている。

「その歌を歌った人は必ず死ぬ」という都市伝説がテーマだが、映画は女子高生が自殺し、その原因がどうもその「伝染歌」にあるらしいと気づいた三流雑誌記者と自殺した女子高生の同級生たちがそのナゾを追う展開になる。女子高生たちの描写は同じ原田監督の「バウンスkoGAL」を思わせるが、なかなかリアルだ。

ホラームービーではあるが、決して怖くはない。「伝染歌」の正体や、自殺の連鎖のナゾ解きの解明の過程は先の展開が読めず、なかなか楽しませてくれる。カットを逆転させる実験的な映像の試みも面白い。カット数も多くめまぐるしいが、荒い映像も効果を出している。

が、しかし、この映画でびっくりたまげるのは、豪華出演陣の怪演にある。主人公の雑誌記者、松田龍平は渋い魅力を放ちつつも「AKB48」の歌とダンスに乗って客席で踊る!し、伊勢谷友介に至っては、元フランス外人部隊の傭兵で足に傷を負っていて行動と言動に一貫性がなく、ストロベリーパフェを食べることに生きがいを感じている雑誌記者、というスゴイ設定。ある超有名人物をあからさまに思わせる、怪しいスピリチュアル有名人を演じるちょっとだけ出演の阿部寛も含め、他の大人の役者さんたちも全員「変」なのだが、ここに原田監督の遊び心が見て取れる。

何しろ、伝染歌のナゾを追う雑誌の編集会議は戦争ゲームをしながら行なうのである!雑木林の中で登場人物たちがいきなりサバイバルゲームを始めたときは「この映画、何の映画だったっけ」と思ったが、これもこの映画全体に漂う「変」の一つ。ラスト近くには、ホラー映画なのに、驚愕のミ○○○○○シーンがあるのだが、「変」の極地にも関わらず、そこはなかなか感動的で、僕はその場面で不覚にも涙してしまった。

恐らくこの映画を大多数見るであろう高校生たちに向けた「簡単に自殺などしてはいけない」というメッセージも奥底にあって、「変」な中にも、社会的なメッセージがきちんと読み取れる作品になっている。

ホラー映画の様相を見せながらも、こういう作品を作っている原田監督も、なかなか振り幅が広い。まあ、かつて、おにゃんこクラブの映画からSFの「ガンヘッド」、傑作「KAMIKAZE TAXI」まで撮った人だ。どこか作風は共通しながらも、いろいろな映画的記憶を織り交ぜながら、幅広い作品を生み出す監督の次回作が楽しみ。
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2007/12/10  20:58

投稿者:おたっきー

小金井豆腐店様、ちょっと気付かず、御礼が遅くなってしまいました!コメント、ありがとうございます!!

最近、ジャンル分けが難しい映画が増えているような気がしていますが、確かにこの作品も、原田監督の挑戦心があふれた作品だと感じました。

アイドル映画にホラーにサスペンスに…。もう何でもありなのですが、そこかしら不思議な空気が充満していて、僕は結構好きな世界でした。

2007/10/18  16:05

投稿者:享年41歳改め小金井豆腐店主

本当に『変』な映画ですね。映画フアンとしてはジャンル分けをついついしたくなるのですが、「伝染歌」はどのジャンルに属するのか?原田監督が観客に対して既存の物との違いを巧妙に企んだ映画の様な気がします。ホラーとか社会的メッツセージとか考えずに素直に見るのが一番なのですが、でも不思議に『変』な映画ですよね。

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