ラッシュアワー3  DVD・ビデオレビュー

見た日/2月某日 ★★★

僕は、もし、履歴書(んなものは書くことも今後、終世ないだろうが)に尊敬する人物の欄があれば、迷わず「ジャッキー・チェン」と書くほど、成龍様をお慕い申し上げている。

その、映画に対する情熱、愛情、アクションにかける気持ち、そして技術は世界一だ。

CGなどに頼らず、肉体の動きを駆使し、信じられないようなアクションの妙をスクリーンに叩きつける姿は、正に映画黎明期に「肉体の動き」で勝負したハロルド・キートンやチャーリー・チャップリンとも通じるものがある、と思う。

香港まで行って、「酔拳2」を満員の劇場で鑑賞した思い出は、僕の映画人生の中でも感慨深いものがある。英語と広東語両方の字幕、ゲラゲラ笑い、大声を上げながら映画を楽しむ香港の人たち…あれはエキサイティングな体験だった。

そんな大好きなジャッキーだが、年齢を重ねたせいかアクションを抑え、物語性に新たな地平を見出そうとした「奇蹟(ミラクル)」が観客に不評を買って以来、再びアクション一辺倒になって、ファンとしては少々心配した。

「奇蹟」はフランク・カプラの「ポケット一杯の幸福」のリメイクで、ジャッキーが映画に対してどれだけ愛情が深いか、またクラシックの名作もよく勉強し、深く理解していることも伺える作品で、「プロジェクトA」「ポリス・ストーリー」と並ぶ、ジャッキーの傑作だと思う。

さて、そんな「年齢も重ねてちょっと無理している感」が強かったジャッキーが、「レッド・ブロンクス」のアメリカでのヒットを受け、ハリウッドの映画人に請われて進出したのが、この「ラッシュアワー」の第1作だった。

ただ、これでハリウッド第1作、と聞くと、僕らファンにとってはジャッキーのハリウッド進出作として話題になった「バトル・クリーク・ブロー」や「キャノンボール」シリーズは何だったの?と思うのだが、これらは日本やアジアのファン向けで当時、ハリウッド本流はほとんど相手にしてなかったのね、ということがこのときようやく分かる訳だ。

でも、正直、この「ラッシュアワー」シリーズは、長年のジャッキーファンから見ると、少々物足りない。

これは、ハリウッドの目から見れば、だが、往年のジャッキー映画はアクションは凄まじいものの、物語性は少々弱いと思える作品(あくまでハリウッドの目から見れば。でも前述の「奇蹟」「プロジェクトA」などは物語もスバラシイ!)が多いので、ブレット・ラトナー監督は、恐らく「ジャッキーのアクションとハリウッドのコメディセンス、物語性がプラスすれば面白い映画ができる」と考えたのだ。

この着目点はいい、と思う。僕たちもハリウッドの大作の中で暴れまわるジャッキーの映画が見たい。でも、ユニオンが強く、現場での制約が強いハリウッドでは、ジャッキーの個性を生かすことは、正直、難しかったのだ。

そういう意味ではこのシリーズは、1、2ともコメディ・アクションとしてはそこそこの出来ではあるものの、ジャッキーの魅力を十分に引き出したとは言えないものになってしまった。ジャッキーのアクションも腹8分目、というていどだ。

作品は大ヒットし、ジャッキーはこのあともハリウッド作品に続々と主演するが、どれもジャッキー・アクションの魅力を生かしたとは言えない作品ばかりで、中にはCGを使った作品もあったりして、「おいおい」という感じのものもある。

その不満はジャッキー自身も感じていたのだろう。ハリウッド作品に出演しながら、この間、地元香港に戻り、自身の過激アクションの原点とも言える「ポリス・ストーリー」のセルフ・リメイクとも言え、演技的にも深いものに挑戦した、ある意味ではジャッキー映画の集大成でもある「香港国際警察」を製作した。

これはハリウッドでは絶対できない過激アクションのオンパレードで、ストーリー的にはいい意味でハリウッドでの経験も生きているように思えた。僕たちもこの稀有な大傑作を見ることができたのだから、ジャッキーのハリウッド挑戦も無駄ではなかった、という気がする。

さて、前置きが長くなった。この「3」だが、物語的にはギャグも滑りまくり、物語展開も全くひねりも何にもなく、シリーズで一番出来が悪い。が、しかし、アクション的には相変わらずジャッキーとしては腹8分目だが、敵役の真田広之の好演もあって、シリーズで最もいい出来になっている。

真田広之と言えば、かつて千葉真一の一番弟子であり、日本では最高の若手アクション俳優だったのだ。「柳生一族の陰謀」での「お城屋根裏和風ハードル競走」や香港映画「龍の忍者」でのアクションなど、そりゃあ、ジャッキーもビックリ、というほどのスゴイアクションを見せていた。

それが「麻雀放浪記」「道頓堀川」辺りから実にいい演技派となり、アクションはしばらく封印していたのが、「たそがれ清兵衛」でこりゃまた素晴らしい殺陣を見せ、「ラストサムライ」でハリウッドに進出して、いろいろな作品でも顔を見るようになって「すごいなあ」と思っていたら、この作品で往年の切れのいいアクションを見せてくれたので大満足。

「龍の忍者」のとき、ジャッキーと共演してほしいなあ、と思っていた僕の夢が、思わぬ形で実現して驚いた。

で、映画としては星2つなのだが、ジャッキーと真田さんに敬意を表して星1つおまけ。

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