小さき勇者たち〜ガメラ  新作レビュー

見た日/4月某日 ★★★★ 
 怪獣映画に対しては、並々ならぬ思い入れを持ち、自分で企画して地元の映画館で「怪獣映画祭」を企画、実行したほどのおたっきーですので、いつものレビューより気合が入ってます!
 さてさて、この映画、平成ガメラ3部作や復活平成ゴジラシリーズを受け、過去の怪獣映画が目指したこだわりや方向性を受け継ぎながらも、子供から大人まで、だれもが楽しめるファミリーピクチャーとしての全く新しい「怪獣映画らしくない怪獣映画」を作ろうという、スタッフの意気込みが感じられる、なかなかの意欲作であり、感動作だった。
 「こだわりを受け継ぐ」という点では、冒頭、ガメラがギャオスの群れに自爆して粉砕するシーンは、明らかに京都でボロボロになりながら無数のギャオスの群れに立ち向かおうとする場面でジ・エンドとなった「ガメラ3邪神<イリス>覚醒」の続きを思わせる。また1973年という年代設定は昭和ガメラ最終作「ガメラ対深海怪獣ジグラ」公開から2年後であり(1980年の宇宙怪獣ガメラは再編集物)、昭和ガメラへの深いオマージュも感じさせてくれる。
 また包丁にトトが炎を吐くシーンは、明らかに包丁型怪獣「ギロン」を思わせ、これもまた昭和ガメラへのオマージュだろう。今回のガメラは「子供の応援を自分の力にして戦う」昭和ガメラのテイストなので、平成ガメラで言わば完成した「怪獣映画」というフォーマットを、上手に万人向けに昇華させた好例だ。
 敵怪獣「ジータス」は登場の仕方、ネーミング、デザイン、動きなど、明らかにゴジラを意識している。生物的な動きや橋上での戦いなど、ハリウッド版ゴジラに対する意識も垣間見える。大映が角川資本になった時、ゴジラVSガメラの企画もあったというから、その名残りなのかもしれない。
 そして、今作では平成ガメラのポイントの一つだった、「怪獣が出てくる存在意義と理屈」を、一切排除している点が興味深い。そこに、「平成ガメラで説明し尽くしているので、ここで説明しても仕方ない」「そんな理屈より市井の人人の姿を描き、感情で観客に理解してほしい」という作り手の想いが感じられる。
 主人公の父親が「なぜだか分からないけど、ガメラは人間のために戦ってくれる」というセリフ一点でそこを表現している。ちなみに平成ガメラでは「ガメラは古代文明が作り出した生物兵器で、地球の生態系を壊す存在に立ち向かうようプログラミングされている」という理屈があったが、そこら辺の裏設定はこの作品の底辺にもあるように思った。ただ、ジータスの存在、出現理由が全くないのはガメラが戦うカタルシスが感じられないので、ちょっぴりでもいいからあった方がよかったように思う。
 縦のアングルを多用した怪獣同士のバトル、少年少女たちがガメラから何らかのシンパシイを受けてガメラのエネルギー(?)をリレーする心の交流など、新しい工夫やアイデアも随所に見られたが、ガメラと人間が精神的な交流をするという点は平成ガメラ第1作「ガメラ〜大怪獣空中決戦」で、子供が女子中学生になってはいるものの、しっかり描き込まれており、バトルシーンも樋口真嗣監督の見事なアングルを凌駕するまでは到っておらず、残念ながら映画全体のクオリティでは「ガメラ〜」の方に軍配が上がると思う。
 だが、「仮面ライダーアギト・プロジェクトG4」で切れのいいアクションとテンポ感で驚かせてくれた田崎竜太監督の分かりやすい演出、切れのいいカットは健在で、出てくる父親や母親たち、ヒロイン、友達が抱えている感情やドラマもあえてくどくどとは説明はしてないが、十分画面からその想いの背景は伝わるのは、演出力の高さゆえだろう。ラスト近くは涙が止まらなかった。
 どちらかと言うとこれまでの怪獣映画は我々オタクだけが支持している、という感じだったのだが、この作品がたくさんの一般ピープルに「怪獣映画って面白いじゃん!」って思っていただくきっかけになれば、怪獣映画フリークとしてこんなにうれしいことはない。
 そして何よりも、この映画は5歳、4歳の息子と初めて映画館で見た記念すべき怪獣映画第1作となった。「僕、ヒーロー物の映画監督になる」といい始めた長男が「面白かった!感動した!」という言葉が、この作品が魅力的に仕上がっている証だろう。
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