うた魂♪  新作レビュー

見た日/4月某日 ★★★★

この映画、ひどくバランスが悪い。

だけど、そのバランスの悪さが、絶妙な魅力になっている、不思議な映画だ。

何しろ物語に挿入されるギャグは唐突だし、登場人物たちも特に前半はまるでリアリティがない。

後半は一転してちょっぴりシリアスになるのだが、物語の展開に伏線や工夫があるわけでもなく、いきなり雰囲気が変わったりする。

もしこのバランスの悪さが監督の計算なら、この監督さんはスゴイ。ゆるゆると描いた今風の演出ではあるが、物語が多少弱いからこそ、コーラスという「歌」の魅力、「音楽」が持つ力が際立ち、強い印象が残る。

この映画では、役者たちが本気で歌い込んでいることが、しっかり伝わってくる。

同じコーラスを題材にしながら、緻密な脚本、演出だった「歓喜の歌」ではなぜか歌の魅力が十分伝わってこない。まあ比べること自体はおかしいが、僕は個人的にはこちらの方が「コーラス」の魅力が十分感じられたように思う。

それは、「歓喜の歌」は物語の展開に重点を置いており、コーラスそのものを描くことにそんなに熱心ではないためだろう。

その点、この映画はクライマックスの「コーラス」に全てを集約させる娯楽映画の王道を取っている。

「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」などと同様の図式ではあるが、人=役者たちが本気で取り組み、自分の力以上のものを発揮し、スクリーンに刻むからこそ、その御膳立てとして、多少の破綻やユーモアはむしろ観客の気持ちを引きつけるために必要なことなのだ。

ゴリ演じる男子校のコーラスも可笑しくはあるが、なかなか聞かせる。とくに尾崎豊の名曲「15の夜」のコーラスバージョンは感動的だ。

僕は高校時代、吹奏楽部に入って毎日練習に明け暮れたが、青春時代に音楽に取り組んだ身としては、この映画そのものがたまらなく愛おしい。

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