クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者  新作レビュー

見た日/4月某日 ★★★

シリーズ初期作品を手がけた本郷みつる監督の復帰作。なるほど「ヘンダーランド」などの初期作品に見られた“ヘンな”世界観が復活していて、なかなか面白かった。

クレヨンしんちゃんの映画シリーズは、原恵一監督が良くも悪くもそのイメージを決定付けてしまった。

原監督は恐らく「大人も子どもも泣いて笑える映画」を目指し、自分の作家性も投入したのだろう。その結果、「オトナ帝国の逆襲」「アッパレ戦国大合戦」という傑作を発表したのだが、それ以後、監督が交代してからはどうしてもこの2作の影響から逃れられず、道を模索していた感があった。

具体的には、野原家の「家族の絆」という、「クレヨンしんちゃん」という作品世界全体の裏テーマでもあるこの部分を原監督の作品以降、どうしても強調されてしまい、その呪縛から逃れられなかった感があるのだ。

とくに最近の「3分ポッキリ大作戦」「踊れアミーゴ」「歌え!ケツだけ爆弾」はその辺りが顕著で、ホラー物に挑戦した「アミーゴ」は異色ではあったが、作品の出来としては少々苦しい部分が強かったように思う。

そういう意味では今回の「原点回帰」は正しいと思う。飛行機同士のバトルなどアニメ的にも見所が多く、家族がまとまって「マジンガー○」を思わせるロボットに合体する場面や、ここでのひろしのサラリーマン的ギャグなどは、原監督が描いてきた遺産を上手に処理しているし、このシリーズの魅力であるお父さんが喜ぶ懐古的ギャグもはまっている。

一通りの展開のあと、しんちゃんが1人で敵に立ち向かわなければなくなる展開も、一緒に見た僕の子どもたちはドキドキして見守っていたし、本来の「しんちゃん」のキャラクターの力も十分発揮していたように思う。

ただチト辛いいのは、敵役のキャラクターが弱すぎることと、前半の日常の部分が少々ダラダラしているせいか、なかなか作品にテンポ感が出ないこと。

そして、しんちゃんを助けるマタはいいキャラなのだが、せっかく敵に両親が殺された、などのエピソードが紹介されながら、ドラマを担う役割が弱く、しんちゃんとの結びつきの強さもあまり感じられなかった。

そのせいか、ちょっと物語に感情移入できにくい部分があったように思うのだが、近年の“クレしん”映画としては出色の出来なので、是非、来年も本郷監督に頑張っていただいて、また新たな“クレしん”映画の地平を切り開いてもらいたい。

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