相棒—劇場版—絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン  新作レビュー

見た日/5月某日 ★★★

「この胸のときめきを」「さらば愛しのヤクザ」などで、僕が大学時代に大好きだった和泉聖治監督久しぶりの劇場作品なので、期待して劇場に出かけた。

和泉監督は「相棒」ずーっと初期の土曜ワイド劇場枠からテレビシリーズを監督し、自ら世界観を作り上げてきた監督さんだが、評判と相性もいいシリーズの映画版だから、本来「本編=劇場用映画」で活躍してきた監督さんだけに、スタッフ共々気合十分なのが、スクリーンからも伝わってきた。


あと、水谷豊氏をスクリーンで見るのは、随分久しぶりだ。恐らく「逃がれの街」以来ではないだろうか。水谷氏は「傷だらけの天使」のイメージが強烈だが、僕にとっては「青春の殺人者」の水谷豊は、「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロと同じくらい、インパクトがあった。

しばらくテレビの二時間ドラマでしかお目にかかれなかったが、久し振りに当たり役に出会った水谷氏が生き生きとスクリーンで活躍する様は、日本映画ファンとしてはやはり嬉しい。

それにこの作品は「東映東京撮影所」作品だが、東映の製作・配給映画としては、久々の大ヒットらしく、長年△波ザッパンマークを応援している身としてはこれも嬉しい。

特別ゲストでチラリと出てくる松下由紀は、和泉監督の青春物の傑作「この胸のときめきを」に出ていたなあ、なんて思いだしてしまった。

テレビの「相棒」は何度か見ているが、確かに面白い。

個性が全く違う刑事が活躍するという洋画などに多いバディ物だが、凝ったストーリーにユーモア、社会性も交えていて、2時間スペシャルなどは本当に出来がいい。

で、満を持しての映画化だが、まあ1作目としては合格点ではなかろうか。

水谷豊扮する杉下右京警部が姿の見えない犯人とチェスで頭脳戦を繰り広げる前半がとくに面白い。有名人ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、なぜか犯行現場には意味不明のアルファベットと数字が残されていた。

やがて、それが5年前のある事件と結びつき、物語は意外な方向へと展開していく。

なぜ、犯人はわざわざ犯行現場にメッセージを残しているのか?なぜ、犯行のヒントがチェスなのか?

この謎解きはなかなか秀逸なのだが、事件の背景が明らかになっていく後半のドラマ展開に折角の右京の推理が飲み込まれてしまい、風呂敷を広げ過ぎたドラマの収集が一生懸命になっちゃって、肝心の「相棒」2人が一瞬、ドラマの中心から離れてしまうのがちょっぴり惜しい。

あと、現実の事件をモチーフにしているせいか、ちょっと後味も悪い。社会性を出したいのは分かるが、ちょっと中途半端にもなってしまった。実在の政治家にそっくりな政治家が出てくるのも、妙なリアル感が漂うばかりで、かえってどうかな、とも思う。

とは言っても、良質なエンターテイメントになっているのは間違いない。「相棒」の脚本チームは「キサラギ」「ALWAYS〜三丁目の夕日」の古沢良太氏など、他にもスゴイ人がいるし、これまでのテレビシリーズを見ても、まだまだ面白い映画は作れるはず。

これを第1作として、もっと面白い劇場版を期待したいし、和泉監督ならできると思う。「踊る大捜査線」はパート3ができるらしいが、派手で宣伝上手なフジ+東宝に負けず、地味だが良質な物語を作っているテレ朝+東映に頑張ってほしい。
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