奇跡のシンフォニー  新作レビュー

見た日/7月某日 ★★★

ハリウッド映画にしては、英国風の香りがするな、と思っていたら、監督はアイルランド出身のカーステン・シェリダン監督で、何と、お父さんは「マイ・レフトフット」「父の祈りを」のジム・シェリダン監督だった。

カーステン監督は1976年7月生まれというから、間もなく32歳になる若手女性監督だ。お父さんの作品は骨太で繊細で見事な作品ばかりだが、この監督さんも、なかなか繊細でシャープな演出を見せる。

いわゆる、寓話だ。お話自体は、かなり陳腐で、正直、あり得ない。まあ、映画はみんな寓話である訳で、そんな現実ではあり得ない物語を、どうリアルに見せ、観客を上手に騙し、その世界に魅了させるのか。そこが作り手の技なのだが、この映画はそういう意味で成功している。

本来ならリアリティのない話を、きちっと「現実の物語」として見せながら、最後は涙、涙で感動させてくれるのは、ファンタジーだからこそ、しっかり役づくりをしたのだろうと思わせる俳優たちのしっかりした演技と、この映画の大きなテーマでもある「音楽」が優れているからだと思う。

恐らく、カーステン監督はファンタジー色が強く、かつシンプルな脚本だからこそ、役者の想いにこだわった演出を心がけたのではないだろうか。ひとつひとつの場面を丁寧に作り込んでいることがしっかり伝わるし、それぞれの俳優がいい仕事をしている。

クライマックスのコンサートシーンは最も盛り上がる場面だが、ここを寸止めにしているのも好感が持てる。このあとどうなるのか、恐らく観客が想像するシーンは100%実現するだろうが、そこを余韻が残るように料理しているのは、ハリウッドにまで毒されてない、若い女性監督ならではの感性だろう。

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