真夏のオリオン  新作レビュー

観た日 5月某日 ★★★★

人間魚雷「回天」も出てくるが、描いているスタンスは「出口のない海」とは全く違う。

どちらも実話を元にしているが、「出口のない海」は「回天作戦」を真正面から描いているのに対して、この映画は「回天作戦」を物語の重要なモチーフとしながらも、潜水艦の艦長の生き方や作戦に焦点を当てている。

「出口のない海」は、甲子園の優勝投手であった普通の大学生の主人公が、海軍に志願し、人間魚雷「回天」の乗組員になる、という物語だった。

「出口…」には、潜水艦が爆雷にさらされるシーンはあるが、いわゆる戦闘シーンは一切ない。敵である「米軍」も出てこない。

そういう意味では、静かな「戦争映画」だった。普通の若者が、なぜ、「回天」に志願したのか?主人公たちは、決して、それを声高に叫んだりはしないが、恋人や家族との関わりの中で、揺れ動きながら、「死」を意識せざるを得ない状況に身を置き、それでも「夢」を追い続ける若者の心情を、様々な印象的な場面で繋ぎ、表現した秀作だった。

この「真夏のオリオン」のモデルになった艦長さんは、実際に、「回天作戦」を使わず、魚雷によって米巡洋艦「インディアナポリス」を沈めたのだという。

回天の乗組員は黄川田将也氏らが演じ、「回天作戦」を発動しない艦長に対して、懐疑心を抱く様子が描かれる。

僕は、この映画を観ていて、「出口のない海」で、香川照之さんが演じた、潜水艦の艦長さんをずーっと思い出していた。

あの艦長さんも、好きで「回天作戦」を発動した訳ではない、回天乗組員に対する想いが人一倍強いからこそ、作戦を発動したあとに複雑な表情を見せる。

香川さんを起用し、短いシーンの中にもその人間性を表現した演出をしたことで、この艦長の人物像が実に豊かになっていて、どういう人なのか、観客に十分に想像させてくれる人物として描かれていた。

こういうキャスティングや演出をすることで、恐らく脚本上には決して描かれてないはずの、キャラクターの豊かな人間性を表現することができる。

二時間しかない映画の中で、なかなか全ての「人間」を描くことは難しいが、これこそが、演出の「妙」であり、監督の「技」なのだろう。ちょっとした演出の工夫で、映画は観客に想像させる喚起を与え、豊かになるものなのだ。

さて、この「真夏のオリオン」だが、ステレオタイプの軍人を描かず、実話を元にしながら、潜水艦内の人間ドラマを描いた、という点では「出口…」とも共通する。

ただし、ドラマは潜水艦アクションの色合いを濃くしているので、単純に比較はできない。アクションは、かの名作「眼下の敵」を下敷きにしているのだが、潜水艦と巡洋艦の単純な追いかけっこには終わらず、なかなかにスリリングな作戦が展開されていて最後まで飽きさせない。

とくに後半のサスペンスはよくできている。わずかしか酸素が残ってない中、機体も壊れ、魚雷も残りが一発しかない中で、どう反転攻勢するのか。

ここは予想もしない展開で、ハリウッドの潜水艦映画にも負けない、なかなかの面白さである。玉木宏氏、吉田栄作氏ら出演陣も頑張っている。

個人的には、ヒロインのキャスティングがちょっとどうかな、と思う部分があるのだが、それは人それぞれだろう。

篠原哲雄監督の作品では「はつ恋」と並ぶ、印象に残った作品だった。

5



2009/7/17  19:14

投稿者:マニィ

マーズアタックさま、コメントありがとうございます。パソコンは相変わらずで、実は携帯サイトからコメントしてます。
トホホ・・・。

最近原稿仕事が忙しくて遅寝早起きなのです。夜中まで起きて、朝8時には起きてます。

トホホ・・・。寝たい・・・。

2009/7/17  9:33

投稿者:マーズアタック

コメントが入れられるようになったんですね。
よかった(*^^)
それにしても、コメント入れた時間が3:56って・・・

早く寝ましょう!
それとも早起きなのかな(^o^;)


2009/7/17  3:56

投稿者:マニィ

マーズアタックさま、いつもありがとうございます。香川さん、いいですよね。出口のない海は、僕が会社をやめ、フリーになったきっかけになった作品なので、忘れられない映画です。

2009/7/6  10:23

投稿者:マーズアタック

私も・・・。
香川さんの艦長さんの演技、未だに心に残っています。
海老様よりも、印象が強い(^o^;)

回天乗組員に対する尊厳に満ちた想い、
無言でも通じ合ってる男たちの想いが、
苦しいくらい、心に響きました。

確かに、香川さん、良かった(*^^)
「ゆれる」も良かった・・・。



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